Yunomi、KiWi、Kai Takahashi……次世代のポップシーンを牽引するプロデューサーたち

KiWi

 KiWiはAZpubshoolとCOR!Sの2人のトラックメイカーによるユニットで、COR!Sはシンガーとしても活動している。トラップを基調にしたハードなビートとファンタジックなメロディの掛け合わせは、KiWiならではのサウンドといえる。その特異性が目に付いたのか、SkrilexとJack Uとしても活動するDiploのレーベル<Good Enuff>から「M・A・Z・E」をリリース。さらにtofubeatsも参加したDiplo & His Friendsというミックス企画に参加するなど、海外からはすでに高い評価を獲得。また、日本においてもガールズダンスユニットDEVIL NO IDに楽曲提供するなど、徐々にポップシーンからの注目を集めている。

KiWi – SUGAR PANIC【KiWi Theater01】

 彼らはYunomiと同じく、“KiWiランド”と呼ばれる徹底的な世界観を押し出している点が特徴的だ。徹底的に煮詰めたコンセプトを通すことで、先鋭的な楽曲も絵本のような親しみやすさをもって伝わってくる。楽曲の中で鳴らされている音は、トラップを基軸にした強度を持つダンスミュージックだが、“KiWiランド”を通した物語やCOR!Sの歌声、キャッチーなメロディによって大衆性を帯びたポップミュージックへと昇華させている。

Tomggg

 千葉県在住のトラックメイカー。“おもちゃ箱をひっくり返したようなサウンド”という表現がよくあるが、まさにTomgggにはその表現がよく当てはまる。キラキラとしたキュートなサウンドに、先鋭的なクラブミュージックの要素を取り入れ、Tomgggにしか出せない世界観を構築している。

Aoi Yagawa prod. Tomggg – ON THE LINE

 最近では、10月10日にMaison book girlの矢川葵をシンガーに招いたシングル『ON THE LINE』を<Maltine Records>からリリース。同作では彼のオリジナリティーを維持しながらも、不安定に変化する泡のようなリズムや複雑なコード進行など、実験的でありながらポップソングとしてまとまった完成度の高さを見せている。また、声優/シンガーの中島愛が10月25日にリリースしたシングル『サタデー・ナイト・クエスチョン』のカップリング曲「はぐれた小鳥と夜明けの空」では、女性シンガーソングライター・ボンジュール鈴木とともに作詞・作曲を担当し、Tomggg自身は編曲も手がけた。その他にもハッピーくるくるや、禁断の多数決にも加入しているMONICOへの楽曲提供など、プロデュースワークも精力的に行っている。

 また、彼のアートワークを手がけるKazami Suzukiと、VJでのアニメーションを担当している大橋史とのライブセットも魅力の一つだ。映像と音楽の表現を追求するイベント『VRDG+H』で披露しているライブセットや、同プロジェクトを主宰しているプラットフォーム『BRDG』で公開されている「nakaniwa」からは、次世代の映像制作チームとしての可能性も感じさせる。

Kai Takahashi

 Kai Takahashiは、LUCKY TAPESというバンドのフロントマンとしても活躍するプロデューサーだ。バンドではROCKを主体に、ディスコ、ファンクなどブラックミュージックの要素を取り入れたいわゆるシティポップ的な楽曲を得意としている。そういった面ではこれまであげたプロデューサーとは少し毛色の違う経歴の持ち主だが、ソロワークスではフューチャービーツ〜フューチャーベースのエッセンスを、ポップミュージックの枠組みの中で昇華させている。LUCKY TAPESではすでに洗練されたポップソングを作ることに定評のある彼だが、ソロワークではそこで得たスキルを存分に発揮させながらも、先鋭的な要素を取り入れることに成功している。

向井太一 / FLY (Official Music Video)

 2015年にリリースしたEP『Soda Pop』以降、ソロワークでは目立った活動がなかったが、最近では向井太一「FLY」のプロデュースや、韓国の女性シンガーソングライターOOHYOのリミックスを手がけており、再び精力的に活動しているようだ。すでにバンドとしては国内でも高く評価されていることからも、その手腕がうかがえる。まだ、ソロワークとしてはあまり実績があるわけではないが、今後もバンド活動ともに注目しておきたい人物だ。

 多種多様なプロデューサーが実験的な試みや音楽的に素晴らしい活動を行っているが、本稿ではフューチャーベース/トラップ・ムーブメントの勃興を肌で感じながら、ポップミュージックへと洗練させているプロデューサーとして上記の5組をあげた。フューチャーベース自体はすでに海外ではメインストリームの音楽となり、次なるジャンルを模索する方向へと向かっているが、ここ日本では様々なジャンルと結びつくことによって独自の進化を見せている。Yunomiの“Kawaii Future Bass”のようなスタイルはその典型例だ。

 冒頭に書いたように、J-POPとしてフューチャーベースやトラップを取り入れていく動きはさらに加速している。その流れのなかでも彼らの鳴らす音楽は、日本独自の新たなポップミュージックの形を提示している。世界のポップシーンにおいてもEDM以降の音楽を模索する動きが続いているように、彼らの活動がJ-POPシーンに変革を呼び込むことになりそうだ。

■ヤマダ
K-POP、K-HIPHOPを中心に音楽オタクをやっている会社員
Twitter:@oyzi

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