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King Krule、Wolf Alice、Superfood……マーキュリー・プライズから占う、UKシーンの新潮流

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ベンジャミン・クレメンタイン『At Least for Now』

ベンジャミン・クレメンタイン『At Least for Now』

 続いては、2015年にマーキュリー・プライズを受賞したベンジャミン・クレメンタイン。デビュー作『At Least for Now』は、規格外のシンガーソングライターが登場したことを伝える一枚でした。エレガントなピアノに乗せたボーカルは、ジャズとシャンソン、スポークンワードが溶け合ったもの。それもそのはず、彼は若い頃にパリでバスキングしながら路上生活を送っていたそうで、異常にライヴ感が研ぎ澄まされているのも当時の経験に基づくものでしょう。そして、Gorillaz新作のゲスト参加を経て発表された2作目『I Tell a Fly』は、「前作ほど売れないと思う」と本人も語るアヴァンギャルドな一枚。クラシカルな楽器とエレクトロニクスを駆使した、変幻自在のソングサイクルは難解かもしれませんが、オンリーワンの世界観に魅せられたら手放せなくなるはず。ぜひ来日してほしいので、最高のライヴ動画を紹介しておきます。

Benjamin Clementine「Jupiter – Later… with Jools Holland」(BBC Two)

 近年のマーキュリー・プライズは、ジャズの最新モードも積極的にプッシュしてきました。日本でも人気のGOGO PENGUINに、2度もノミネートされたPolar Bear、新作も素晴らしかったPortico Quartet、昨年のThe Comet Is Coming、今年のDinosaurなど、いずれのバンドもクラブミュージックの影響が垣間見られ、そこが実にUK的。“グラスパー以降”のUSジャズと同様に、もっと幅広く聴かれるべきサウンドだと思うので、最後に取り上げておきましょう。まずは、Dinosaurが授賞式で披露したパフォーマンス動画を。超カッコイイです。

Dinosaur「Living, Breathing」(Mercury Prize 2017)

Girls In Airports『Live』

Girls In Airports『Live』

 このDinosaurも在籍する、エディションという優良レーベルが近年プッシュしているのがGirls In Airports。彼らはデンマークの5人組で、インディーロックとワールドミュージック、エレクトロニカが混ざり合った、新しい北欧ジャズを奏でています。日本盤化も実現した『Live』はその名の通りライヴ盤で、想像力を刺激するシネマティックな音像を、2本のサックスと鍵盤、パーカッションで表現。近未来的なリズムとアンビエンスが、立体的に迫ってきます。The Cinematic Orchestra及びNinja Tuneや、ポストロック好きにもストライクの内容でしょう。

Girls In Airports『Live』(Official Trailer)

■小熊俊哉
1986年新潟県生まれ。ライター、編集者。洋楽誌『クロスビート』編集部、音楽サイ『Mikiki』を経て、現在はフリーで活動中。編書に『Jazz The New Chapter』『クワイエット・コーナー 心を静める音楽集』『ポストロック・ディスク・ガイド』など。Twitter:@kitikuma3

      

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