DISH//にとって「MUSIC BOIN」とは何だったのか? 雨空の日比谷野音で伝えた音楽への情熱

DISH//、野音で示した新たなビジョン

橘柊生

 おかわり(アンコール)で最後の最後に演奏されたのは、ライブで初披露となった「コトダマ」(『I’m FISH』カップリング)だった。演奏前に匠海が語ったのは「僕たちは言霊の力を信じて、横浜スタジアムへの夢を目指して進んでいます。僕らの思いが今日ここにいるみなさんと、そしてここに来ることのできなかったみなさんにも届きますように」という一言。歌詞に込めたメッセージやファンへの思いなどを茶化すことなく口にするフロントマンだからこそ、<擦りむいた傷が 今も痛むのは 僕らの魂が 決して簡単じゃない道を 歩いてきたことの証だから><無力さを知って 流した涙も 無駄じゃないさ>といった言葉の一つ一つが意味を持ち、リスナーの胸を打つのだろうと感じた。

 他に類を見ないダンスロックバンドとしてエンタメ性あふれる活動を展開してきたDISH//だが、最近のインタビューでは「今まで本当にいろんな方向を向いてきたけど、生演奏バンドとして進んでいくべきだと確信できた。そろそろ『DISH//って面白いよね』を脱出したい」(匠海)とも語っていた(参考:T−SITE NEWS DISH//インタビュー)。「MUSIC BOIN」とは“今後はより深く音楽の道を追求していく”という5人からのメッセージであるように筆者は感じたのだが、どうだろうか。

(取材・文=古知屋ジュン)

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