Happinessは“最高”の新作でJ-POPを更新する Ava1ancheら迎えた『GOLD』収録曲を聴く

参考:2017年9月18日~2017年9月24日週間CDシングルランキング(2017年10月2日付・ORICON NEWS)

 Happinessは最高……!

Happiness『GOLD』

 はっ、つい結論を急いでしまいました。2017年10月2日付の週間CDシングルランキングの1位は、Happinessの『GOLD』。このサウンドが日本のチャートのトップに立っている事実には衝撃すら覚えました。

 タイトル曲である「GOLD」は、ヒップホップやレゲエをルーツにベースミュージックを生みだしているAva1anche(アバランチ)がサウンドプロデュースを担当。そのAva1ancheが「GOLD」で響かせているのはフューチャーベースです。

 しかし、「GOLD」が一般的なフューチャーベースとは異なっている点こそが重要。全編にラテン風味を加え、しかもそうしたトラック上で楽曲を歌モノとして成立させています。単にフューチャーベースを導入しただけではない、J-POPならではのミクスチャーが行われているのです。

 この難易度の高い楽曲を歌いこなせる川本璃と藤井夏恋というボーカリストを擁しているのがHappinessの強さ。彼女たちの歌声によって、Ava1ancheによる独自のフューチャーベースが、ラブソングとしてナチュラルに受容されている事実にも注目すべきです。Happinessの「GOLD」は、日本のリスナーの耳をアップデートさせてしまうような楽曲なのです。

 付け加えるならば、Happinessの「GOLD」の先鋭性には、『Queen of Hip-Pop』(2005年)をリリースした頃の安室奈美恵をも連想して興奮しました。

 作詞は、後述する「I'm so Wow」ともどもKanata Okajimaこと岡嶋かな多。V6(参考:V6『COLORS / 太陽と月のこどもたち』はグループの“静”と“動”を照らすーー収録曲の作家陣に注目)やFlower(参考:Flower、歌とダンス意識した「たいようの哀悼歌」で初の首位獲得 同曲が引き出したグループの魅力)も手掛ける、本連載のレギュラーのようなヒットメイカーです。

 カップリング曲も強力です。「Next Level」は、EXILE、Crystal Kay、安室奈美恵、AIなどを手掛けるT.Kuraがプロデュースを担当。T.Kuraの公私にわたるパートナーであるmichicoが作詞し、作曲もT.kuraと共作しています。

 R&Bプロデューサーというイメージの強いT.Kuraですが、「Next Level」では彼もフューチャーベースを響かせています。

 Happinessの2015年のシングル曲「Holiday」もT.Kuraによる作品でしたが、トラックはヒップホップ色が強いものでした。しかし、「Next Level」では一転してフューチャーベース。しかも、そこにせつないメロディを乗せ、ラブソングとしても成立させるという豪快な技を見せつけています。そして、楽曲のブリッジでは16小節のラップへと突入。同じT.Kura作品でも、「Holiday」よりさらに鋭角化しています。

 また、「GOLD」だけでも強烈なのに、カップリングにさらに「Next Level」のような楽曲が入っていることには驚きました。まるで「GOLD」と「Next Level」で双璧を成しているかのようなシングルなのです。

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