ステージ中央でアイドルに取り囲まれる新しさ アップアップガールズ(仮)のVRを体験してみた
アップアップガールズ(仮)(以下、アプガ)のライブリハーサルを体験できるアプリ『アップアップガールズ(仮)360°ライブステージ』が、PlayStation VR(以下、PSVR)にて9月14日にリリースされた。
音楽分野の新しいエンターテインメントとして、これまでももいろクローバーZや仮面女子、KICK THE CAN CREWなどが取り組んできたライブのVR映像。今回のアプリには、アップアップガールズ(仮)が2016年に行ったライブツアー『アップアップガールズ(仮) Zepp ツアー “The Seven PARTY LIVE Alien”』のツアーファイナル直前のリハーサル模様を収録。ステージの中央に鑑賞者の視点があり、ライブリハーサルを行うアプガのパフォーマンスを360度、メンバーと同じ立ち位置から至近距離で体験することができる。
定員1名、ステージ中央席の新しさ
リハーサルをVR化している同アプリでは、客席に観客はゼロ、実際のライブでは実現不可能な距離感で、アプガとプレイヤーのみの特別な空間が展開される。メンバーのダンスや歌を間近で見られるのはもちろん、メンバー目線から見たフォーメーションの動き、ダンスのステップ、客席に背中を向けているときの表情など、客席からでは絶対にわからない部分を、臨場感たっぷりに見ることができる。また、プレイヤーをぐるっと取り囲んだメンバーが、顔を詰め寄せて歌ってくれたり、マイクを向けてくれたり、笑顔で手を振ってくれたりと、コミュニケーションをとりながら盛り上げてくれるのもファンにとっては嬉しいポイント。メンバーと向き合う気恥ずかしさから思わず目を背けたくなっても、メンバーに囲まれているため逃げ場がない。実際に行われているライブや客席の最前列にVRカメラを置く試みはこれまでにもあったが、アーティストを独占する形で約20分ものライブパフォーマンスをノーカットで撮影したのは、新しい試みと言えるだろう。
VRで変化するライブの在り方
VR元年と言われる2016年を迎えてから、音楽分野におけるVRの技術を活用新しいエンターテインメントが次々と登場している。VR動画専門配信サービス「360Channel」は、ライブやMVのVR映像をコンスタントに制作しており、YouTubeのVRチャンネルも毎日のように新しいコンテンツが生み出されている。また、昨年の冬にはフジテレビの「FUJI VR」やdTVの「dTV VR」なども登場し、『めざましライブ』や『a-nation』といったライブフェスをVR映像化。もともとはゲームやガジェット好き界隈で盛り上がっていたVRだが、低価格で購入できるモバイルVRデバイスの普及もあり、VR映像をよりポピュラーなものにしようとする動きが活発化している印象だ。もちろん海外でもVRを利用した音楽コンテンツが多数生み出されており、先日ABBAがVRとCGを組み合わせたバーチャルリアリティツアーのプロジェクトを発表した。すべてがバーチャル技術のみで作られた、近未来的なライブ映像になるようだ。制作側にとっても、消費者にとっても、時間や空間に縛られない、自由なクリエイションと新しいライブの楽しみ方が次々と誕生している。