TWEEDEES、徐々に変化する“成長”の見せ方 辻林美穂迎えたツアーファイナルをレポート

TWEEDEES、徐々に変化する“成長”の見せ方

 そしてハイライトは中盤に訪れる。「Boop Boop Bee Doop!」を終え、沖井はアップライトベースに持ち替えると、清浦もトイピアノを自身の脇に置き、「悪い大人のワルツ」「ブリキの思い出」がスタート。アップライトとトイピアノが導入されたTWEEDEESサウンドは新鮮で、沖井と共演する際には性急なビートを要求されることの多い原のドラムもミドルテンポになり、これまでのライブにはなかったラグジュアリーな雰囲気を醸し出す。しかし、アップライトに替えたとて沖井らしさが存分に発揮されたサウンドに、圧倒的な個性を今一度思い知らされる。

 そんな沖井が、アップライトベースを置いて白のギブソンSGギターに持ち替えたのには、さらに驚かされた。元々弾き語りのセットにおいて、沖井がギターで伴奏をする光景は何度か見てきたが、TWEEDEESのバンドセットでギターを使うのを見たのは初めてだ。SGを持った沖井がハードなカッティングで音の壁を作って披露された「友達の歌」は、シューゲイザー的な響きを持つ新鮮なものだった。そして、その音像を突き破って届いてくる清浦の歌声もいっそう魅力的に聴こえた。

 終盤では、清浦がハイテンションで観客に「プリンはお好きですか?」と尋ねたあと、「プリンを喰らえー!」と「プリン賛歌」を演奏。原曲もフレンチ・ポップスを取り入れたものであることを今回のカバーを通して知ったのだが、それを差し置いてもなお、キメの多いTWEEDEESアレンジは一癖も二癖もある。

 最後に、清浦の成長からみるTWEEDEESについても触れておきたい。本編の最後に披露された「ムーンライト・フラッパー」を含め、清浦が作詞・作曲に携わる楽曲が増えれば増えるほど、TWEEDEESのライブにはミュージカル的な要素が加わっていく。それは女優業も経験している彼女による、演劇的なパフォーマンスも影響しているのだろう。清浦の成長も沖井の変化も魅力的だが、このバンドを見続けるうえで一番楽しいのは、どんどんと清浦夏実と沖井礼二にしか生み出せない何かがステージに形作られていく瞬間だ。

 そんな2人は、9月のライブを機にしばらく3rdアルバムの制作期間に入るのだという。ここで手応えを掴んだであろうライブセットをしばらく封印してしまうのは残念だが、それを補って余りある作品を作れるということだろう。2人の顔からは、そんな自信が見て取れた。

(取材・文=中村拓海/撮影=柴田恵理)

■セットリスト
・辻林美穂
1.真夏のかけら
2.あぶく
3.film larme
4.愛は光(Negicco カヴァー)
5.ONE -TIME LOVE(星野みちるカヴァー)
6.Pignon

・TWEEDEES
1.PHILLIP
2.a la mode
3.STRIKERS
4.未来のゆくえ
5.電離層の彼方へ
6.Birthday Song
7.Boop Boop Bee Doop!
8.悪い大人のワルツ
9.ブリキの思い出
10.友達の歌
11.プリン賛歌
12.君は素敵
13.Baby,Baby
14.ムーンライト・フラッパー
En1.Crosstown Traffic
En2.Rock’n Roll is DEAD?

TWEEDEES『à la mode』

■リリース情報
『à la mode』
発売中
価格:2,200円+税

<収録内容>
1.未来のゆくえ
2.à la mode
3.Birthday Song
4.悪い大人のワルツ
5.君は素敵
6.プリン賛歌 ~20th à la mode edition
(ボーナストラック)
7.TWDS_STRUT
8.PHILLIP -TWEEDEES ONLY ver.
9.プリン賛歌 ~20th à la mode edition(TVサイズ)

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