TWEEDEESと北川勝利のツーマンライブが生んだ熱気、そして浮上した“スモール・サークル・オブ・フレンズ”

TWEEDEES&北川勝利が起こした熱気

 あまりにも数多くのドラマが詰まった3時間に、涙腺が緩み、熱いものがこみあげてきた。元シンバルズの沖井礼二とヴォーカリストの清浦夏実によるTWEEDEESと、ROUND TABLEの北川勝利のツーマンライブのことである。3月にデビュー・アルバム『The Sound Sounds.』を発表したTWEEDEESの主催イベントに北川が呼ばれたこの日、アンコールには沖井や北川と親交の深いクラムボンのミトも登場。会場の尋常ならざる熱気が証明していたように、北川や沖井やミトの音楽を追いかけてきたファンにとっては、脳味噌の芯がクラクラするような体験だったのではないか。それくらい、濃密なライブだった。ここでは2組のパフォーマンスを振り返り、この日の裏の主役といってもいい“ある人物”の存在にも触れてみたい。

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 最初に登場したのは北川勝利。北川は元々ベーシストだったのだが、バンドマスターを務めた坂本真綾や花澤香菜のライブ同様、この日はギターを抱えて登場。ROUND TABLEの曲を中心にしたセットで、4年ぶりに自らもヴォーカルを披露した。バンドは、サックス、トランペット、パーカッション、コーラスを含む9人編成で、コーラスは北川のプロデュースでアルバム『SUMMER VACATION』(傑作!)をリリースした声優の藤村鼓乃美が担当。6曲目ではこの『SUMMER VACATION』のタイトル曲も披露されたのだが、当然メイン・ヴォーカルは藤村で、ここでまず、北川が他者に提供した楽曲の秀逸さがあらためて身に沁みる。そして、9曲目では同じく北川がプロデュースした花澤香菜の「We Are So in Love」(作詞・作曲は矢野博康)が演奏されたのだが、これがカヴァーであることを忘れさせる極上の響き。それもそのはず、この日の演奏者9人のうち5人が、今年5月3日に行われた花澤香菜の武道館ライブと同様のメンバー(ディスティネーションズ)なのだ。花澤なくしてこのバンドの一体感や結束感も生まれ得なかった、と言えるかもしれない。

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 北川のヴォーカルを久々に生で聴けたのも貴重だったが、剋目すべきはやはり、バンド・アンサンブルの音楽的水準の高さ。花澤香菜の『Blue Avenue』がそうだったように、その根っ子には、70年代後半~80年代のジャズ/フュージョンやAORがあると言っていいだろう。特にギターの山之内俊夫のラリー・カールトンやジョージ・ベンソンもかくやという爽やかなギター・ソロ、『Blue Avenue』にも参加していたウィル・リーを想わせる高井亮士のベース、バークリー音楽院出身で23歳にして角松敏生のツアーにも参加する山本真央樹(BOW WOWのギタリスト・山本恭司の息子!)のドラムがそうしたフィーリングを象徴していた。北川のバンドは今回のイベント出演がきっかけとなり、来年1月にもライブも行うことが決まったそうだが、それも納得の充実した演奏だった。

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