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『どこへ時が流れても/まだ僕にできることがあるだろう』リリースインタビュー

中村雅俊が1500回のコンサートを続けられる理由とは? The Beatlesからの影響も語る

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 中村雅俊が54枚目となるシングル『どこへ時が流れても/まだ僕にできることがあるだろう』をリリースする。<いまを生きる/どこへ時が流れても>という歌詞が心に残る「どこへ時が流れても」、理想と現実の間で揺れながらも、自分自身の存在意義を問い直す「まだ僕にできることがあるだろう」が収録された本作からは、デビュー43年目を迎えた“歌手・中村雅俊”のさらなる成熟ぶりが伝わってくる。

 11月からは、デビュー以来毎年欠かさず行っている全国ツアーもスタート。12月2日には中野サンプラザホールで“1500ステージ突破記念公演”の開催も決定している。デビュー40周年を超えても精力的な活動を続けている中村に、ニューシングルとツアーのことを軸にしながら、音楽に対する向き合い方について語ってもらった。(森朋之)

「20代、30代の頃は、暗闇に向かって突き進んでるような感じ」

ーーまずはニューシングル『どこへ時が流れても/まだ僕にできることがあるだろう』について聞かせてください。『どこへ時が流れても』は、『はじめての空/恵み』(2015年)、『ならば風と行け』(2016年)に引き続き、松井五郎さん(作詞)、都志見隆さん(作曲)による楽曲ですね。

中村雅俊(以下、中村):松井さん、都志見さんとは長い付き合いだし、“チーム中村雅俊”のような仲間なんですよ。今回のシングルに関しても「こんな曲はどうだ」「あんな曲はどうだ」といろいろなタイプの曲を持ってきてもらって。やっぱり俺が歌うので、ある程度の年齢の方に向けたメッセージソングということになるんですけど、これまでの流れを汲みながら、「いま歌うなら、これだよね」ということになった感じですね。今回は2曲とも詞先だったので、松井さん自身の思いも乗っていると思います。今回はふたりともレコーディングに立ち会ってくれたしね。

ーー「どこへ時が流れても」には<旅の終わりは/まだここじゃないようだ><迷うってことは/歩き続けること>など、心に訴えかける言葉が並んでいます。

中村:まさしく俺が考えているようなことなんですよね、この歌詞は。特に<いまを生きる>という言葉はすごくリンクしているんです。若いときは「いっぱい時間がある」と思っていたんだけど、この年齢になると「残された時間」というものがある。そうすると「いまの自分はどうなんだ?」ということを考えるんですよ。1日1日を精一杯生きて、「今日はどうだったろう?」と振り返って……。それがすべて「いま」というテーマにつながっていくんですよね。だから「どこへ時が流れても」を歌っているときも、聴いてくれる人にメッセージを伝えると同時に、自分自身に言っているところもありました。すごく納得できる歌詞だし、歌いやすかったですね。メロディもシンプルだしね。

ーーそこには同世代のファンの方に対する思いも含まれてますか?

中村:うん、ありますね。リスナーひとりひとりを直接知らなくても、考えてみたら、同じ時代を一緒に歩んできたわけで。「二十歳の頃、あんなことがあったよね」という共通の体験もあるし、どこかに仲間意識があるんですよね。そういう意味では、自分が思っている以上に通じ合えてるんじゃないかなって。

ーー「まだ僕にできることがあるだろう」も深いメッセージ性を持った楽曲ですね。このタイトルからして……。

中村:若者向けではないなって(笑)。すごくリアルだし。

ーー<娘に鼻であしらわれ/君とは家の中ですれ違い>ですからね。

中村:この曲を聴いて「これは俺の歌だな」と思う人もいれば、「俺は違う」という人もいるだろうけど、何かしら自分のことを意識してしまう歌だと思うんだよね。俺としては、自然と共有できるところもあるし、表現者として曲の主人公になって歌っている部分もあるんですけどね。ただ、こちらが良いと思ってる表現であっても、100人いれば100通りの受け取り方がありますから。お客さんの心理状態だって、そのときによって違いますからね。コンサートにしても、恋人と別れたばかりの人もいるだろうし、「チケットが余ったから」って知り合いに無理矢理つれてこられた人もいると思うので。

ーー中村さんご自身も「まだ自分にできることがあるだろうか」と考えることはありますか?

中村:それはあまり考えないですね。それよりも、いままでやってきたことを深めることほうが大事かな、と。それはコンサートも然り、俳優としても然りですけどね。俳優に関して言うと、この年齢になると演じられる役も限られてくるんですよ。もう「青春だ!」とは言えないですから(笑)。ただ、限られてくることで、やりやすくなる部分もあるんですけどね。作曲家も「何でもいいから良い曲を作って」と言われるよりも、「60’s風の曲で」とテーマを限定したほうが作りやすいみたいですからね。

ーー限定されることで、自分がやるべきことが明確になるというか。

中村:年齢を重ねると、より自分のことがわかってくるんですよ。能力的なこともそうだし、「こういう発言をすれば、こんな影響がある」ということも含めて、自分の輪郭がわかってくるというか。若いときとは違いますよね、そこは。20代、30代の頃は破壊者というか、暗闇に向かって突き進んでるような感じだったので(笑)。

ーーなるほど(笑)。歌うことについても、年齢を重ねることで変化はありますか?

中村:歌はもう少し幅広いかもしれないですね。若い頃のラブソングも歌えるし、年相応のメッセージソングも歌えるので。そういう意味では「歌はいいな」と思いますね。

ーーニューシングルのCD+DVDには、2016年12月に開催された中野サンプラザホール公演が収められた映像作品も。オープニングでは客席から登場されていますが、あれは中村さんのアイデアなんですか?

中村:あの演出は舞台監督のアイデアですね。もう30年以上一緒にコンサートを作ってる人なんですけど、彼と「客席から出て来るってどう?」「えー?」というやり取りをしながら決めました。去年のツアーの初日はかつしかシンフォニーヒルズ・モーツァルトホールだったんですけど、そのときはお客さんに囲まれて前に進めなくなってしまって、内心では心配しながら歌っていましたけど(笑)。毎年ツアーをやっているので、そういった意味では色々と考えるのも大変ではあります。

ーー新しい演出やステージングも取り入れたいと。

中村:そうですね。ずっと自分の曲しか歌ってなかったんですけど、例えば去年はThe Beatlesの曲を3曲ばかりやってみたんですよ。それがすごく評判が良くて「何だ、The Beatlesのカバーをやればいいわけ?」って少し複雑な気持ちになったんですけど(笑)。

ーー(笑)。ちなみにその3曲というのは?

中村:「Nowhere Man」「I Feel Fine」「Golden Slumbers」です。「Golden Slumbers」は「Carry That Weight」「The End」までつなげたかったんですけど、演奏のパートが増えてしまうし、時間的な制限もあったから、泣く泣く諦めて。レコード通りに完コピしたんですが、けっこう難しかったですね。

ーー中村さんのオリジナル曲も増え続けていますし、セットリストを組むのも大変ですよね。

中村:基本的には「これが歌いたい」という自分の思いでピックアップした楽曲を並べているんです。あとはバンドマスターの大塚修司とも相談しながら決めています。自分で作った曲も50曲くらいあるから、それも歌いたいしね。

      

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