大原櫻子が語る、歌と向き合う姿勢とシンガーとしての自立「自分の音楽には優しさがあってほしい」

大原櫻子が語る、シンガーとしての自立

 昨年10月に初の日本武道館ライブを開催。今年5月には初の主演舞台「Little Voice(リトル・ヴォイス)」を成功させるなど、活動の幅を広げている大原櫻子からニューシングル『マイ フェイバリット ジュエル』が届けられた。秦 基博の作詞・作曲によるこの曲は、なめらかなメロディラインのなかで〈わたしだけのきらめき見つけたい〉というフレーズが広がるポップチューン。以前から秦の楽曲に親しんできた彼女にとっても、貴重なコラボレーションとなったようだ。(森朋之)

自分に近いところで歌えた

ーーまずは5月に行われた舞台『リトル・ヴォイス』について。歌を中心とした舞台ということもあり、大原さん自身、得るところが多かったのでは?

大原櫻子(以下、大原):そうですね。海外の往年の大スター(ジュディ・ガーランド、マリリン・モンロー)の歌を歌うということで、最初は「私にできるのかな?」と不安に思っていたんです。でも、去年の12月から稽古を始めて、本番の舞台を経験するなかで、音楽の奥深さを実感できて。スターたちの堂々とした立ち居振る舞い、歌に対する姿勢をマネしながら演じることで、“大原櫻子”として身に付けられることもたくさんありましたね。

ーー歌の技術にも良い影響がありそうですね。

大原:それもあったと思います。まず、ポップスの歌い方とはぜんぜん違っていたんですよ。いままでの歌い方を取っ払って、「どうやったら似せられるか?」を追求して。ボイストレーニングに通いながら練習したんですが、最初は喉が痛くて大変で。それをやり切ったことで歌の引き出しが増えたと思うし、自信にもつながりました。


ーー今回のシングル『マイ フェイバリット ジュエル』からも歌の表現の広がりを感じました。秦 基博さんの作詞・作曲による楽曲ですが、秦さんの音楽は以前から聴いてました?

大原:はい。最初に聴いたのは「ひまわりの約束」だったんですけど、音楽番組で共演させていただく機会があって、そのときにいろいろな曲を改めて聴きました。ライブにも行かせてもらったんですけど、すごく良かったですね。おだやかなイメージがあったんですけど、盛り上がる曲でダンサーが登場したり、いい意味でイメージが覆されました。

ーー秦さんとのコラボレーションが決まったときは、どう思いました?

大原:ビックリしましたね、最初は。同じアーティストですけど、秦さんとは住んでいる島が違うような感じがしていたんですよ。秦さんはシンガーソングライターで、男性で、年齢も上。私は歌い手で、女で、21才だから、だいぶかけ離れている感覚があったというか。自分ではそういうふうに思っていないんですけど、私のパブリックイメージは“明るくて、元気”という感じだし、秦さんはおだやかじゃないですか。まさか秦さんに曲を書いていただけるとは思っていなかったから、今回のコラボが決まったときは驚いたし、すごく嬉しかったですね。

ーー秦さんは「大原さんの歌声にあるポジティブで明朗な響きと憂いや寂しさの滲む情感をイメージしながら「マイ フェイバリット ジュエル」を書きました」とコメントしていて。実際、この曲のメロディーは大原さんの声質にピッタリですよね。

大原:ホントですか? 私もこういう透明感のある楽曲、さわやかな雰囲気の曲を歌いたいと思っていたので、そこは自分の色に合っていたのかもしれないですね。最初に歌詞が入っていない状態で聴かせてもらったんですけど、「秦さんだ!」と思ってキュンキュンしちゃって(笑)。秦さんの曲には、息継ぎが少なくて、スッと流れるように歌う感じがあると思うんですよ。カツン!と突き抜けるというよりも、繊細なニュアンスで聴いている人を酔わせるというか。この曲のサビにもそういう感じがあったから、「来た! 秦さんの曲だ!」って。

ーーすごい、しっかり分析してますね。

大原:いえいえ。その後で歌詞を送ってもらったんですけど、女性らしさがすごく感じられて、そこで自分自身との距離感が近くなって。働き始めたばかりの女の子が主人公なんですが、私自身もちゃんと実感できたというか。歌詞の内容についてもやりとりさせてもらったんですよ。“ジュエル”という言葉を歌詞に入れるかどうかとか、細かいところまで話をさせてもらって。そのおかげで自分に近いところで歌えたと思います。

ーーレコーディングはどうでした?

大原:秦さんにもスタジオに来ていただいたんです。私が歌ったものをチェックしながら、直していただいたんですけど、かなり厳しかったですね。「完璧。天才!」と言ってくれた後、「記念にもう1回歌ってみようか」って、結局10回くらい歌わされたり(笑)。ふんわりした方だろうなと思っていたんですけど、意外とスパルタでした。でも、一度「完璧」と言われると安心して力が抜けるから、その後はもっといいテイクが録れるんですよ。

ーー歌い手の心理がわかってるんでしょうね。具体的なディレクションもあった?

大原:ありました。私はサビの歌詞の単語を一つひとつ強調して歌うクセを意図的につけていて。歌詞を聴いてもらうためにそうしていたんですけど、秦さんから「もう少しなめらかに歌ってほしい」と言われて。流れるように優しく歌うことを伝授していただきました。すごく繊細で細かいことなんですけど、曲に対する愛情を感じたし、音楽に向き合う姿勢や集中力もすごくて。本当に勉強になりましたね。

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