でんぱ組.inc、最上もが“脱退”の衝撃 グループは危機をどう乗り越える?
また、柴氏は一度解散危機を乗り越えてここまで来たという、グループの歴史をこう解説する。
「でんぱ組.incは一度解散の危機を迎えたことがあり、その時にヒャダインさんがメンバーに話を訊き、ドキュメント的に作った『W.W.D II』という曲があります。全員がグループを愛していて、頑張ろうという思いが強いのに、自分がそのハードルに達していないんじゃないかという悩みや、他のメンバーが自分と足並みを揃えてくれないという葛藤を曝け出したことで、今一度絆を深めて以降の快進撃に繋げていきました。また、これはでんぱ組.incに限らず言えることですが、人気アーティストにはブレイクしてから数年間の勢いある期間、いわゆる“旬”のようなものが必ずあります。一方で新たな挑戦を続けて自分たちを更新していくPerfumeのように、キャリアを長く続けていくことができる時代になっています。そんななかで、2014年に解散してもおかしくなかったバラバラの6人が、ここまできたことだけでも凄いのだと思います」
最後に柴氏はでんぱ組.incを「バンドに近い価値観を持ったグループである」とし、今後への期待を述べた。
「でんぱ組.incというのはバンドのようなグループと捉えています。とくにNUMBER GIRLに近いものを感じるんです。メンバー個々のセルフプロデュース能力が高くて、個性も強いしエッジも効いている。しかし、NUMBER GIRLは中尾憲太郎さんが脱退したことで解散を選びましたが、でんぱ組.incは最上さんの脱退後も継続することを選びました。でんぱ組.incはそれぞれが自分の得意領域とセルフプロデュース能力を持っている集団なので、解散を選んで新たな表現にシフトしていってもおかしくないし、僕自身もその決断をしても受け入れられるという気持ちがありました。ただ、彼女たちは続けることを選択した。このことにはすごく感慨深いです。残った5人は岐路に立った状態からどんなストーリーを紡いでいくのか興味がありますし、『W.W.D II』などを含め、6人ありきで成立していた曲がどうなるかも気になりますね」
グループは継続することを選び、メンバーそれぞれも熱い思いを発信している現在のでんぱ組.inc。次の一手に注目が集まるなか、5人はどんな表現を選び取っていくのだろうか。
(文=中村拓海)