でんぱ組.incの“夢の続き”が見たくなるーー映像作品『幕神アリーナツアー2017』レビュー

でんぱ組.inc『幕神アリーナツアー2017』レビュー

 でんぱ組.incは、現在はメンバーがソロでライブをすることはあるものの、「でんぱ組.inc」としてはライブ活動をしていない。彼女たちのグループとしてのライブ活動の復活を待望してしまうことになるのが、DVD&Blu-ray『幕神アリーナツアー2017 電波良好Wi-Fi 完備!& in 日本武道館 〜またまたここから夢がはじまるよっ!〜』だ。

 これは、追加公演である日本武道館を含めて全6公演が行われた『でんぱ組.inc 幕神アリーナツアー2017』の模様を収録したライブDVD&Blu-ray。2017年1月9日の幕張メッセイベントホールでの公演が『幕神アリーナツアー2017 電波良好Wi-Fi 完備!』、1月20日の日本武道館での公演が『幕神アリーナツアー2017 in 日本武道館 〜またまたここから夢がはじまるよっ!〜』に収録されている。

 『でんぱ組.inc 幕神アリーナツアー2017』は、1月6日、8日、9日に幕張メッセイベントホール、1月14日、15日に神戸ワールド記念ホールで公演が行われ、さらに1月20日に日本武道館で追加公演が行われた。このうち私は、1月6日の幕張メッセイベントホールと1月20日の日本武道館の2公演を見ることができた。しかし、映像として改めて見ると、さまざまに新たな発見がある。幕張メッセイベントホールも日本武道館も、とにかく情報量の多いライブだったのだ。

 『幕神アリーナツアー2017 電波良好Wi-Fi 完備!』は、幕張メッセイベントホールでの最終日を収録。幕張メッセイベントホールでの公演は、中盤の「まもなく、でんぱ組.incが離陸致します♡」からメンバーがトロッコに乗り会場内を走り回るなど、演出とそれに伴う物量に圧倒されたものだ。

 今回の『でんぱ組.inc 幕神アリーナツアー2017』では、Dem Dem Big Bandが帯同して生演奏を行った。ギター、ベース、キーボード、トランペット、トロンボーン、ビオラ、チェロがそれぞれ1人、ドラム、サックス、バイオリンがそれぞれ2人クレジットされた13人編成のバンドである。アイドルのライブにおいて、生演奏が必ずしも良い結果を残すとは限らないが、管弦楽器まで揃えた大編成のDem Dem Big Bandによるサウンドは、アレンジも非常に凝られていた。そして、でんぱ組.incというグループの持つエレクトリックなイメージが薄い点も新鮮だった。

 序盤の「でんでんぱっしょん」では、メンバーが新体操のようにリボンを使うなか、彼女たちの前に降ろされた薄いスクリーンに映像も投影される。2次元と3次元が交錯したイリュージョンのようだ。「NEO JAPONISM」では、Dem Dem Big Bandの演奏が突然ファンク化する部分も現れる。

 ディアステージで働くディアガールズがダンサーとして参加した「Dear☆Stageへようこそ♡」はミュージカルのような楽曲だが、管弦楽器も擁するDem Dem Big Bandはそうしたサウンドにも見事に対応している。「あした地球がこなごなになっても」での弦楽器による伴奏も美しい。

 「Ψです I LIKE YOU」では、Dem Dem Big Bandがビッグバンドジャズを演奏。そして、一大シンフォニーと化した「W.W.D」では、ラテンのパートの挿入がユニークだ。「最Ψ最好調 !」は、CDではラテン色が濃かったものの、ライブではよりファンキーな演奏になっている。

 本編ラストの「WWDBEST」では、会場に銀テープが飛ぶ。アンコールの「ORANGE RIUM」で、ファンが一斉にオレンジ色のサイリウムを焚く光景は圧巻だ。さらにハートマークの紙も上空から舞ってくる。

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