山下達郎、CKB、SHISHAMO、ラブサマちゃん、ココロオークション…2017年夏どう盛り上げる?

ラブリーサマーちゃん『人間の土地』(通常盤)

 昨年12月にリリースされたメジャーデビューアルバム『LSC』に続く、ラブリーサマーちゃんの1st EP『人間の土地』は、夏らしい解放感に溢れた仕上がり。90年代後半の日本のオルタナティブ(たとえばスーパーカーとか)の雰囲気をまとったバンドサウンドが印象的なアッパーチューン「FLY FLY FLY」、80年代ネオアコ経由のポップナンバー「海を見に行こう」(←フリッパーズ・ギターを思い出すタイトルですね)、ところどころにThe Stone Rosesの面影が見えるポップなギターロック「ファミリア」、そして、彼女自身が敬愛するRadioheadの名曲「High and Dry」の可憐なカバーを収録。ちょっとノスタルジックな“That’s summer feeling”を想起させると同時にしっかりと“いま”を体現したポップミュージックである。

ココロオークション『夏の夜の夢』(通常盤)

 ショートムービーの連作というテーマで制作された“夏の短編小説MVシリーズ”「蝉時雨」「夏の幻」「雨音」を中心としたココロオークションのコンセプチュアルなミニアルバム『夏の夜の夢』。ライブやフェスで盛り上げることを意図したダンスビートではなく、じっくりと歌を聴かせることを軸にしたバンドなのだが、リードトラック「線香花火」でトロピカルハウス的なサウンドを取り入れるなど、トレンドに対する意識もしっかり反映されている。粟子真行(Vo/Gt)のどこか文学的な歌詞、アレンジ能力に優れた大野裕司(Ba)のセンス、一発録りを中心にしたレコーディングによる生々しいサウンドメイクがバランスよく共存した良作だと思う。

ココロオークション「線香花火」

■森朋之
音楽ライター。J-POPを中心に幅広いジャンルでインタビュー、執筆を行っている。主な寄稿先に『Real Sound』『音楽ナタリー』『オリコン』『Mikiki』など。

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