Hey! Say! JUMP、10年で築いた9人の一体感 「H.our Time」を機にグループの軌跡を辿る

 Hey! Say! JUMPが、7月26日に初のベストアルバム『Hey! Say! JUMP 2007-2017 I/O』をリリースし、オリコンデイリーCDアルバムランキングで1位を獲得した。ファン投票で決まった収録曲、ジャケット撮影時に撮り合った自撮り写真やメンバー所有のレアショットなどが収められたブックレット、そして座談会トークがたっぷり聞けるスペシャルストリーミングWebラジオ……などなど、デビューから10年かけて築いた彼らの実力、そして活動を支え続けてきたファンへの感謝が詰まっている。

 なかでも注目すべきは、岡本圭人が作曲し、9人がリレー形式でグループの軌跡を詞にした新曲「H.our Time」。<正直つまずいた時もあった 10年 理想とは違って>、その歌詞には、彼らの赤裸々な思いが綴られている。今でこそ、固い絆で結ばれている9人。だが、ここまでくるのに10年かかったとも言える。振り返ると、JUMPの歩みは逆境の連続だったからだ。常に彼らの前には大きな壁が立ちはだかり、そのたびにメンバー同士とファンがつなぐ手と手は強くなっていった。

実力も年齢もバラバラなグループ

 Hey! Say! JUMPの結成は、ファンの中にも衝撃が走ったのを記憶している。デビュー秒読みと言われていた人気ジャニーズJr.内ユニットが解体され、イギリスから帰国したばかりの岡本が大抜擢される波乱の展開。しかも、過去に類を見ない人数。まずは、ひとつのグループとして足並みを揃えて歩くために、キャリアのある薮宏太と八乙女光が、保護者のように振る舞った。だが、彼らも当時まだ10代。思うようにはいかないもどかしさと悔しさで、メンバー間の衝突もあったと聞く。最初の単独コンサートで東京ドームという大舞台が用意されるも、彼らにできることは限られていた。ファンも不安に思ったかもしれない。それはメンバーにも伝わっていた。特に、初めてのダンスと歌に苦戦する岡本のプレッシャーも大きかったに違いない。それでも、必死に食らいついていくしかなかった。ストイックな八乙女は愛を持って叱咤した。洋楽好きな有岡大貴は音楽を通じて岡本の心の支えとなり、ファンも彼らの不器用な成長ぶりをじっと見守った。

センター山田涼介の苦悩

 やっとグループとして形になってきたころ、ジャニーズJr.時代から特待生ともいえる活躍をみせてきた中島裕翔だったが、山田の急成長によって、センターの位置を譲ることになった。デビュー後のセンター交替はジャニーズでは珍しいこと。当然ながらふたりの間はぎくしゃくし、メンバーも彼らを見守るしかなかった。さらに山田は、知念侑李と中山優馬の3人組ユニット“NYC”を兼任。そしてソロデビューの話まで飛び出す。悲しくも10人から9人体制となり、JUMPのこれからを不安に思う声も聞こえていた。ソロとして活動が充実するのはアイドルとして喜ばしいことなのだが、JUMPのことを思うと即決することはできなかったという山田。だが、その背中を押したのは、他ならぬメンバーだった。ムードメーカーの有岡と、クールで男気のある髙木雄也が「お前にとってチャンスだ」とまっすぐに応援してくれたという。音楽番組でソロ曲を披露するときも「Hey! Say! JUMPの山田涼介としても……」とグループ名を何度も出していたのが印象的だった。「嫌いだったから」Webラジオでは、中島と山田の今だから話せるトークが繰り広げられる。ふたりが雪解けを迎えたころ、中島は俳優という新たな才能を開花させていた。そのほかのメンバーも歌やダンス、楽器、バラエティと、それぞれの特技を伸ばしていったのだ。山田の開けた風穴が、一人ひとりの個性を輝かせたように思う。

JUMPならではの強みを

 徹底的に揃えるーー。ある時期から、JUMPのダンスは明らかに変わった。大きな壁をいくつも超えていくなかで、一人ひとりの強みは出せるようになった彼ら。だが、グループとしてのイメージはデビュー当時から大きく変わることなく、キラキラのカワイイ男の子たちのまま。フレッシュな後輩たちも出てきているなかで、自分たちの強みってなんだろうと、全員で話し合うことも多くなったという。そんなか、コンサートで「Beat Line」を披露したときの会場はどよめきは、今も忘れられない。指先まで意識が統一されたダンスは今までのイメージを一新するものだった。しかも、9人という人数でそれを実現するのは、簡単なことではなかっただろう。そこから、「Ride With Me」などキレのあるダンスナンバーも、「Give Me Love」などのしっとりした曲も、JUMPにしか表現できないパフォーマンスで魅了。それぞれ個人の仕事も活発になってきたため、リハーサルで全員揃うことも難しい。そこで変更点があるとメモを取って共有しているのはデビュー当時に苦労した、あの岡本だという。そんな軌跡を思い返しながら、「H.our Time」を聴くと胸が熱くなるのを止められない。

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