トランスブームの立役者・DJ KAYAが語る、シーンの変遷と『TRANCE RAVE』復活の意義

DJ KAYAが語る『TRANCE RAVE』復活について

FULLMOON RAVE 2017.06.09@ageha

 
『FULLMOON RAVE』は、お客さんが主役

――なるほど! DJ KAYAさんが『FULLMOON RAVE』に興味を持ったきっかけはどんなものだったんでしょう? KAYAさんは本場タイ・パンガン島の『FULLMOON RAVE』に出演されたこともありますね。

DJ KAYA:世界には色々なパーティーがありますけど、「どうやら『FULLMOON RAVE』は、お客さんが主役らしいぞ」ということを聞いていて、ずっと気になっていたんですよ。通常のパーティーはあくまでDJが主役ですよね。でも、僕のスタンスは『TRANCE RAVE』もそうで「お客さんが主役」ということなので、これは楽しそうだなと。それでバーレスク東京のMC MANさんと話してみたら、トントン拍子に話が進んで、まずはパンガン島のフルムーンパーティーでDJをすることになりました。それで現地に行ってみたら、本当にDJが全然目立っていなかったんですよ。

――『FULLMOON RAVE』は満月になるたびにパンガン島のロングビーチに2~3万人の観衆が集まって、夜通し音楽が鳴り続ける、世界三大レイブのひとつと言われています。

DJ KAYA:景色だけで言うと、Fatboy Slimのビッグビーチ『BIG BEACH FESTIVAL』(本国イギリスのブライトンビーチでのパーティーのこと)という感じですけど、ビッグビーチはDJブースに向かって「何万人もがひとりのDJのために集った」という雰囲気ですよね。これは『ULTRA』も『Tomorrowland』も『EDC』も同じで、「すごいDJがやってきて、みんながそのプレイを観にくる」という感じで。でも、『FULLMOON PARTY』の場合、そもそもDJがどこにいるのかも分からない(笑)。海沿いに「海の家」がたくさん並んでいて、その全部が爆音で音を鳴らしているんです。ひとつひとつが競い合うように音を出して。恐らく盛り上がっているところはドリンクが出て、売り上げが伸びるということなんでしょうね。だから、極端なところだとDJブースが一番奥にあって、外ではものすごい数の人が踊っているのに、DJからはお客さんが一切見えない、という場所もあるぐらいで。しかも、ブースが隣接して連なっているんで、みんな同じ音で盛り上がっていると思いきや、ブースとブースの間のグレーゾーンではノッている音も違ったりもするんですよ。それに、お立ち台で踊っているお客さんに対して、DJブースは全然端の方にある。それを観たときに、「ああ、これは学生パーティーをやっていた頃のベルファーレのお立ち台と一緒だ」と思ったんです。昔のディスコもそうですよね。あれも、DJというよりお客さんにスポットライトが当たっていたわけで。

――スーパースターDJが主役ではなく、そこに集まった観客がカルチャーを作っていた、と。

DJ KAYA:その通りです。それに、バーレスク東京もそういった雰囲気を大切にしているところなんですよ。それもあって、『FULLMOON PARTY』のお立ち台を観てピンと来たんです。「この日本版は、絶対に俺がやらなきゃダメだ」と。もちろん、そもそも有名なDJがくるわけでもないので、現地の『FULLMOON PARTY』を日本に持ってくる必要もあまりないんですけどね。向こうのパーティーを「日本でやらせてください」という意味があまりない……(笑)。

――では、「そのバイブスを持ってきたい」ということですか?

DJ KAYA:というよりも、「同じバイブスじゃん」という感覚だったんですよ。向こうに行って何かが変わったのではなくて、「俺と一緒だ」と思った。自分がDJとして大切にしてきたことも、『FULLMOON RAVE』の成り立ちも、DJの原体験になった学生パーティーも、バーレスク東京の営業コンセプトも、全部それと一緒だったので。だから、その集大成として、今回の『FULLMOON RAVE 2017』では、メインフロアで『TRANCE RAVE』を本格的に復活させて、「WATER」はDJ KATO、DJ YAGI、DJ ACEを中心にサイケデリックトランスのフロアにして本国パンガン島でDJをしているSKAZIにも出てもらうことにしました。そのうえで、これまで話してきたカルチャーをどの年代に体験した人が来ても楽しめるものにと考えていきましたね。今回は、渋谷を中心とした若者カルチャーの中で、すべての年代の人が来られるようにフロアを作るということをコンセプトにした。だから、フロア別にみると、20歳から50歳まで楽しんでもらえるようにしたつもりです。「BOX」は今の渋谷でパリピのカルチャーを盛り上げているあっくんの『NEON RAVE』があるし、外の「PARK」にはバーベキューを置いて騒がしくない空間を作って、そこではDJ HANGERの超絶スクラッチやポイのパフォーマンスも観られるようにします。なので、今回は全年代型のイベントになることを重視しているんですよ。これは、若者を中心に支持を集めるEDMだけではできないことだと思ってます。そしてトランスがあることによって、世代の壁を越えられる。さらに言えば、次回開催以降はカルチャーの数を増やしていきたいです。トランスがそうであるように、色んなジャンルを「カルチャーごと」に増やしていきたい。

――2017年の開催に関しては、当日来る方にどんなことを楽しみにしていてほしいですか?

DJ KAYA:とにかく、全てを楽しんでもらえたら嬉しいですね。僕らは「すべてがメインフロアだ」という気持ちで準備しているので。会場に来てしっくりくるフロアを見つけたら、あとはいつもより弾けてほしい。顔にペイントして、日常を離れて、普段とは違う自分になって遊べるんじゃないかと思います。バケツカクテルなど面白いものも用意しているんで、とにかくみんな、いつもよりバカになってほしいですね。僕のDJセットは自分の経験したトランスの歴史を表現できるセットにしようと思っています。とはいえ、今回はバーレスク東京さんと一緒に制作を進めているので、ただの同窓会にはならないと思いますよ。過去の良きカルチャーと、現在活躍している人たちが手を組んでいるというのが、一番のポイントです。楽曲に関しても新しい挑戦がしたくて実は今回、ゲストで出演するシャンティと共作で僕のHIT曲「God」のメロディを使った「FULLMOON ANTHEM」というテーマソングもShantiと制作しました。6月7日よりオフィシャルサイトで試聴可能なのでぜひチェックして遊びに来てください!

(取材・文=杉山仁)

TRANCE RAVE 2017.6.9 再始動!!

■イベント概要
『FULLMOON RAVE 2017』
日程:2017年6月9日(金)
会場:新木場ageHa
金額:当日券¥4,000 前売り券¥3,000
FULLMOON RAVE 2017公式サイト

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「インタビュー」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる