森朋之の「本日、フラゲ日!」vol.47
クリープハイプ、レキシ、ポルカドットスティングレイ……繰り返し観てしまう新作MVは?
アニメ『GRANBLUE FANTASY The Animation』(TOKYO MX)エンディングテーマとして制作されたHARUHIの「ソラのパレード」は、エキゾチックな響きを持ったメロディ、オーガニックな手触りと壮大なスケールを共存させたサウンドメイクを軸にした楽曲。「空に向かって旅を続けていく前向きなイメージと同時に、表と裏を意味するような、2つの世界を表現した楽曲」(HARUHI)というアンビバレンツな魅力は、MVの世界観にも直結している。監督はBUMP OF CHICKEN、Superfly、エレファントカシマシなど数多くのMVを手がけてきた映像作家・番場秀一。光と影、現実と架空、開放と抑圧といった対になるファクターを効果的に取り入れながら、「ソラのパラード」の世界観を美しく描き出すことに成功している。これまでにもアートディレクターの森本千絵、映画監督の深田晃司などとコラボレーションを繰り広げてきたHARUHI。アート志向の強い彼女は、音楽を映像的に表現することにおいても、際立ったセンスを持っているようだ。
ニューウェーブ、オルタナ、ヒップホップ、ファンクなどをザックリと取り入れながら独自のバンドサウンドを作り上げ、<就活 婚活 どう勝つ?>(「クールクールビジョン」)、とガールズトークのような歌を楽しそうに奏でる4人組女子バンド・CHAI。「NEO(ニュー・エキサイト・オンナバンド)」を掲げる彼女たちの2ndEP『ほめごろシリーズ』のリード曲「ボーイズ・セコ・メン」のMVでも、その自由すぎる創造性を思い切り発揮している。MVの監督、制作を担当したのは、女子クリエイター集団・チーム未完成。ハウスキーピングサービスから派遣されたCHAIのメンバーが、料理、掃除、ベビーシッターをやりながら、家を散らかしまくっていくMVは、このバンドが持っている“天然のアナーキー”“ナチュラルな過激っぷり”を浮き彫りにしている。ローファイにしてハイセンス。やっぱり女子はすごい。
■森朋之
音楽ライター。J-POPを中心に幅広いジャンルでインタビュー、執筆を行っている。主な寄稿先に『Real Sound』『音楽ナタリー』『オリコン』『Mikiki』など。