欅坂46、田口 淳之介、女王蜂……“ボーダーレス”な表現力を備えたアーティストたち

 昨年5月にアヴちゃん(Vo)の別プロジェクト“獄門島一家”(お父様(中村達也/Dr)、西園寺(KenKen/Ba)、お兄様(長岡亮介/Gt))とのスプリットシングル『金星 / 死亡遊戯』をリリースするなど、活動の自由度をさらに上げている女王蜂の約2年ぶりとなる5thアルバム『Q』。「金星 Feat.DAOKO」を含む本作は、アヴちゃんの深層心理の奥に現れた少年的人格がもとになっているという。濃密なリビドー、エロス、タナトスが混在になった音楽世界を体感すれば、時代と性別を超えていくようなアヴちゃんの作家性が二度目の覚醒を果たしたことを感じてもらえるはず。現実社会とイマジネーションの世界が混ざり合う歌、ポストロック経由のファンク・ミュージックを軸にしたサウンドメイクは、ドレスコーズの新作『平凡』とも重なる。

女王蜂 『DANCE DANCE DANCE』(Full Ver.)

 元BiSのコショージメグミ、アイドルオーディション企画「ミスiD 2015」のファイナリスト・矢川葵を擁する4人組ユニットMaison book girlのメジャー1stアルバム『image』。アイドル、ロックの両シーンを軸にしながら、ファッション、カルチャーともリンクした活動を続けている“ブクガ”だが、その中心にあるのはやはり音楽。サクライケンタのプロデュースによる楽曲は、印象派のクラシック、現代音楽、ポストロック、エレクトロニカ、ミニマルミュージック、環境音楽などのエッセンスを取り入れながら、高度かつ緻密なサウンドメイクと現代的なポップスとしての魅力を見事に共存させている。この創造性の高さは、現在のアイドルのなかでは完全に際立っていると思う。

Maison book girl / faithlessness / MV

■森朋之
音楽ライター。J-POPを中心に幅広いジャンルでインタビュー、執筆を行っている。主な寄稿先に『Real Sound』『音楽ナタリー』『オリコン』『Mikiki』など。

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