『[ jet setter, jet lag tours ♥ tartans' turn ] ep.3 / revenge of the tartans』レポート
meg rock、初披露曲も飛び出した年末ワンマン 充実のライヴを振り返る
初披露が2曲!
ライヴ開催当時ハマっていたというドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』(TBS系)の話題も出ており、それにちなんで、恒例のセルフカヴァーメドレーでは「せヵゝι)σおゎ└)(せかいのおわり)」が演奏された。『逃げ恥』のヒロイン役を務める新垣結衣が初出演したTVドラマ『Sh15uya(シブヤフィフティーン)』の主題歌。ライヴ初披露である。meg rock提供曲のなかでも個人的に好きな1曲で、最近『逃げ恥』の話をよくTwitterでしているし、やるかな、やるかなと期待していたので、イントロが鳴った瞬間「キター!」と高まりました。
あらためてセルフカヴァーメドレーで演奏された提供曲を書き出しておこう。このコーナーは主にmeg rockがその年に提供した楽曲で構成される。
「♡ km/h」~「eternal eternity」~「群青世界」~「せヵゝι)σおゎ└)」~「étoile et toi」~「labradorite」
「♡ km/h」はTVアニメ『ろんぐらいだぁす!』OPテーマで、Ray歌唱、meg rock作詞、y0c1e(ヨシエ)作編曲。
「eternal eternity」はTVアニメ『美少女戦士セーラームーンCrystal』第1弾EDテーマで、セーラーウラヌス(CV.皆川純子)&セーラーネプチューン(CV.大原さやか)歌唱、meg rock作詞、齋藤真也作編曲。
「群青世界(コバルトワールド)」はTVアニメ『クビキリサイクル』OPテーマで、三月のパンタシア演奏、meg rock作詞、aokado作曲、ゆうゆ編曲。
「せヵゝι)σおゎ└)」はすでに触れたようにTVドラマ『Sh15uya』の主題歌で、小枝歌唱、日向めぐみ作詞作曲、関淳二郎編曲。
「étoile et toi」は劇場版『傷物語〈Ⅱ熱血篇〉』のEDテーマで、クレモンティーヌ歌唱、meg rock作詞、神前暁作曲、神前暁・高田龍一編曲。
「labradorite」は綾野ましろの1stアルバム『WHITE PLACE』に収録された楽曲で、meg rock作詞、ミト作編曲。
このワンマンではもう1曲、「ヒトリジメ」も初披露された。グミ名義でのデビュー曲「Catch You Catch Me」のc/wで、初めて世に出たmeg rockの自作曲である。作詞作曲は日向めぐみ名義、歌唱はグミ名義となっていてややこしいのだが、名前をめぐる細かい話は一昨年のメロキュア・インタビューで聞いているのでそちらを参照してください。
メロキュア・日向めぐみ × クラムボン・ミト対談 ミト「むせ返るスウィート感に音楽的な強さ感じた」 | Real Sound|リアルサウンド
「ヒトリジメ」は「Catch You Catch Me」に続けて演奏されたのだが、会場の熱気が一段上がるのが手に取るようにわかった。無理もない。リリースから約20年経っての初演なのだから。「Catch You~」「ヒトリジメ」はそれぞれ、TVアニメ『カードキャプターさくら』のOP主題歌、挿入歌で、現在同アニメが再放送中であり、「ヒトリジメ」の流れる回がワンマンの少しに放映された。そんなことから初演に至ったということのようだ。
これは音源の印象の話になるけれど、「ヒトリジメ」の時点で、メロディラインといい、歌い方といい、現在のmeg rockに通じる個性が出来ているのがわかる。広瀬香美が作詞作曲、歌唱指導した「Catch You Catch Me」とは歌が明らかに別物である(「Catch You~」もこれはこれで良いのですが)。グミ名義の楽曲はもう2曲ある。いつか披露されることを期待したい。
アンコールで意表を突くカヴァーが
「ヒトリジメ」の後、2015年末のワンマンに引き続き、バンマスの黒須“ローリン”克彦がまたしても自然に呼ばれるというアクシデント(なのか?)が起こったMCを挟んで、メロキュア・コーナー。今回は「So far, so near」が選ばれた。これもmeg rockワンマンでは初演となる曲だ。
メンバー紹介を挟んでの後半では「twinkle, sparkle」、「流星ピクニック」、そしてアンコールでの「心晴れて 夜も明けて」が見どころだっただろうか。
「twinkle, sparkle」は2015年12月に配信で先行リリースされた目下の最新シングルだが、ライヴではずーっと演奏されてきた、ファンにはお馴染みの楽曲である。この日はステージの左右のモニターに腰掛け、フロアのファンに語り掛けるように歌われた。
「流星ピクニック」は前回のワンマンで初披露された、まだ音源化されていないリリース前の新曲である。静けさから激しさへ、そしてまた静けさへと変転する曲調が深い余韻を残す。コーラスパートをフロアに投げて「もっと聴かせて!」と求めるmeg rockに応えて、いつまでもラララ~と歌うメグロッカーが印象的だった。
この「twinkle, sparkle」や「流星ピクニック」も収録されると思われる、前回のワンマンでもリリースがアナウンスされていたmeg rockのミニアルバムだが、「夏から一切進んでません!」とのことで(笑)、当初は「2016年内リリース予定」だったのが「2016年“度”内リリース予定?」に変更された。気長に待ちたい。
アンコールで「Agapē」に続き歌われた「心晴れて 夜も明けて」は、メロキュアのリーダー岡崎律子が堀江由衣に書いた楽曲だが、この曲がカヴァーされるとはコアなファンにもまったく想定外だったようで、会場には良い意味で裏切られた歓喜の声が上がっていた。このライヴのためにギターの川口圭太が新たにアレンジしたということだった。川口は堀江由衣の10thシングル「silky heart」のアレンジを手掛けているという縁もある。
オーラスは「slight fever」。フロア煽りまくり、マレットで太鼓叩きまくりで、ほとばしりまくったまま走り切ってエンディングを飾った。
今回のmeg rockワンマンのハイライトは「せヵゝι)σおゎ└) 」「ヒトリジメ」という初演の2曲だったと思うが(ライヴ後meg rockがTwitterで報告していたのだが、レコーディングでライヴに参加できなかったミトが、「心晴れて 夜も明けて」も含めて初披露曲が何曲かあったことを事後に知って、嘆きのLINEをmeg rockに送ってきたそうだ)、全体としても満足度の高いセットリストだったのではないだろうか。
それから個人的には、何と言っても衣装! 今回の衣装はいつにも増して抜群に素敵だったと思いました。
■栗原裕一郎
評論家。文芸、音楽、芸能、経済学あたりで文筆活動を行う。『〈盗作〉の文学史』で日本推理作家協会賞受賞。近著に『石原慎太郎を読んでみた』(豊崎由美氏との共著)。Twitter
■セットリスト
01 レジへGO!
02 incl.
03 clover
04 wish
05 heart
06 ベビーローテンション
07 (セルフカヴァーメドレー)「♡ km/h」~「eternal eternity」~「群青世界」~「せヵゝι)σおゎ└) 」~「étoile et toi」~「labradorite」
08 Catch You Catch Me
09 ヒトリジメ
10 So far, so near
11 twinkle, sparkle
12 star
13 笑顔の理由
14 この左手は君のもの
15 play loud
16 流星ピクニック
en01 Agapē
en02 心晴れて 夜も明けて
en03 slight fever
■meg rockバンド
Ba. 黒須克彦
Gt. 川口圭太
Gt. 山本陽介
Dr. かどしゅんたろう
Mnp. 菅原拓
■配信情報
meg rock "twinkle, sparkle" 配信限定リリース!
iTunes (Mastered for iTunes 版)
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