水曜日のカンパネラが目指す、自由なエンターテインメント「“祝祭を担当した人”ぐらいの立ち位置にいたい」

水曜日のカンパネラが目指す自由なエンターテインメント

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「誰も気づかなかったものを作れたら」(ケンモチ)

ーー3月には、キャリア初となる武道館での単独公演『八角宇宙』も控えていますね。

コムアイ:武道館に向けては演出も色々と考えていますけど、その使いどころを工夫して、歌を歌うときは全方向からその「歌」だけに視線が集まるようにしたいですね。でも、私ってもともと武道館自体には興味がないんですよ。

ーー以前話をきかせてもらったときには、オリンピックにも興味がないと言っていました。

コムアイ:へそ曲がりで本当に申し訳ない(笑)。でも、「ビートルズが(昔武道館で来日公演を)やったからって何? 私はロックをやってるわけじゃないし」みたいな(笑)。武道をやる場所としては興味があるんですけどね。そういえば、私は昔、武道館のアリーナでバイオリンを弾いたことがあるんです。私にとっての武道館は、むしろその思い出。昔バイオリンのスクールに通っていたとき、同じ教本を使っている3歳~15歳ぐらいの子たちが集まって、武道館でバイオリンを弾く演奏会があったんです。難しい曲から順番に弾くので最初は5人ぐらいからはじまるんですけど、曲が簡単になるにつれて人数が増えて、最後は1000人ぐらいの子供でアリーナが埋まるという……! ラストは、一番簡単な「きらきら星」をみんなで演奏するんです。今思い出しても結構ヤバいイベントだなぁと思うんですけど……。

ケンモチ:それは何の話なの(笑)。

コムアイ:(笑)。話を戻すと、武道館公演の『八角宇宙』というタイトルは、(日本古来の武道の成り立ちに関係する「東西南北」の方位を明確にするため、八角形に設計された)武道館の形から取っているんです。今回は図形とか立地を大事にしたい。どこの場所でライブをするときもそうですけど、私はその場所で昔何があったかを知るのが好きなんです。沖縄の鍾乳洞でライブをしたときも、貝塚的な感じでカニの甲羅が沢山でてきたという話を知ってすごく面白くて。何でも、昔その鍾乳洞で原始人がカニパーティーをしていたらしいんですよ(笑)。武道館も、そういう意味で面白い場所だと思い始めているところです。

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ーーなるほど、当日が本当に楽しみですね。今の水曜日のカンパネラには様々なチャンネルがあると思いますが、2人が思うエンターテインメントとは、一体どういうものだと?

コムアイ:私にとっては「祝祭」ですね。「自分が前に出てみんなを盛り上げよう」「踊らせよう」というよりも、何か祝祭があって、「それを担当した人」ぐらいの立ち位置にいたい(笑)。みんなが楽しんでくれるなら、私自身のことはどうでもいいんです。

ケンモチ:僕は曲を作って届けるのが仕事ですけど、組み合わせの妙で、誰も気づかなかったものを作れたらいいなと思いますね。僕にとって水曜日のカンパネラは、その実験の場でもある。それを誰にも聴かれず部屋でやることもできますけど、水曜日のカンパネラではそれをみんなでシェアできますよね。僕はソロでも活動してきましたけど、「すごいもんができたな」と思っても、それがすぐに沢山の人に伝わることはなかったし、ライブも頻繁にはなかったから、お客さんからのレスポンスもあまり見えなくて。でも、今度の武道館や昨年末の『FNS歌謡祭』(フジテレビ系)もそうで、カンパネラでは僕が一生面と向かっては会わないかもしれない人たちにまで届けられて、レスポンスもすごく見える場で面白い実験ができる。そういう状況に、すごくやりがいを感じているところですね。

ーー結成当初と比べて、グループを取り巻く環境にはどんな変化を感じますか?

コムアイ:ひとつひとつに必死すぎて、まだ落ち着いて振り返れてはいないですけど、でもいつの間にか人に知られているんですよね。観てくれる方がいて、前提として共有できるものがあればそれを裏切ることもできるので、今の方が面白いことができることは感じています。昔は観てもらうことに必死で、表現に奇抜なものを入れる必要性を感じていたんですよ。でも今は、違う方法でも人を惹きつけることを考えられるようになったというか。

ケンモチ:今でもそうですけど、「カンパネラだけは絶対認めない」「これは音楽じゃない」という人が結成当初から沢山いたんです。でも、そういうコメントをしてくれていた人たちも、1カ月後に「でもこの曲は覚えてる」「CD買っちゃった」ってファンになってくれたりすることがあって。だから、気に入ってくれるにしてもそうでないにしても、僕らの存在を気にしてくれる、僕らに気付いてくれる人が増えているのが本当に嬉しいですね。コムアイも言いましたけど、最初は変なことをして人を振り向かせることに必死だったんで。

コムアイ:(手を振りながら)「こっちー!!!」ってね。事務所の社長も、私が「鹿の解体ができる」と言ったら、「一度捕まってみたら? 出所したアイドルとしてやっていくのも面白い」と冗談を言っていて(笑)。水曜日のカンパネラは、もともとそういう自由な環境ではじまったグループなんです。今思うと、それがすごくよかったのかもしれないですね。

(取材・文=杉山仁/撮影=外林健太)

■リリース情報
『SUPERMAN』
発売:2017年2月8日
【CD版】 ¥3,000(税抜)
【USB版】 ¥3,000(税抜)
〈収録曲〉
1.アラジン
2.坂本龍馬
3.一休さん
4.オニャンコポン
5.チンギス・ハン
6.チャップリン
7.オードリー
8.カメハメハ大王
9.世阿弥
10.アマノウズメ

■リリース情報
『水曜日のカンパネラ 日本武道館公演~八角宇宙~』
3月8日(水) 東京・日本武道館

■オフィシャルサイト
http://www.wed-camp.com/

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