ベッド・インが貫く“弾けないバブル” 過去最大規模のおギグを徹底レポート

ベッド・インが貫く“弾けないバブル”

 グッズ紹介が終わると後半戦へ。中尊寺まいが1990年代アイドルのような衣装で現れ、歌い出したのは彼女のソロ曲「V.H.S.」。歌声や振り付けもキュートな、バブル時代のアイドル歌謡オマージュだ。

 続いては、益子寺かおりのソロ曲「ROSA-魅惑のバリライト-」。真紅のドレスに身を包んで熱唱する彼女は、往年の中森明菜をよりダイナミックにしたかのようだった。

 そして、益子寺かおりもステージから去ると、舐める派JAPANの司会のもと、パートタイムラバーズのメンバーが、ツアーでのエピソードを紹介するコーナーへ。陸海空、すべての移動経路を使ったというツアーを振り返った。

 そして、パートタイムラバーズによる男闘呼組の「DAYBREAK」のカバーへ。ポリネシアン・キヨⅡ世の「赤坂BLITZ……1200人……今夜全員……抱くぜ!」という言葉とともに演奏がスタートした。性豪すぎるだろ……。演奏が終わった瞬間にポリネシアン・キヨⅡ世が「抱いたぜ!」と言うと、男性ファンから「ありがとうございます!」という声が起きていた。

 ベッド・インが再登場しての「真夜中のディスタンス」では、大きくてカラフルな風船がいくつもフロアに投げこまれた。 歌謡曲色の濃い「白黒つかない」を歌っても、ベッド・インは違和感がない。ハードなロックも歌謡曲も歌いこなせてしまうキャラクターは彼女たちの大きな武器だ。

 かと思うと、益子寺かおりが「みんなどうだった、壮大な宴会芸?」、中尊寺まいが「大人の文化祭ですよ!」と感動的な雰囲気をひっくり返すのもベッド・インらしい。

 MCでは、C.C.ガールズやギリギリガールズ、T-BACKSなどに憧れてベッド・インが生まれ、2016年に遂にメジャー・デビューし、赤坂BLITZでおギクをするまでになった歴史も振り返られた。益子寺かおりは、バブル時代について「あの時代の熱量、自由さ」が好きだと語り、この道を貫きたいと宣言した。

 本編終盤は、「♂×♀×ポーカーゲーム」、SHOW-YAの「私は嵐」「限界LOVERS」のカバーで一気にたたみかけた。その演奏が生みだす熱狂は完全にロック・バンド。ベッド・インは、やはり本質的には優れたミュージシャンなのだ。

 アンコールでは、まずベッド・インのふたりの出会いが回想された。益子寺かおりが「最初はおふざけだったこのユニットがここまでこれるとは思ってなかった」と言うと、中尊寺まいが「そうだね……」と涙声に。益子寺かおりが「泣くのは下半身だけって言ったじゃん!」と言うと、中尊寺まいは「バナナの涙が出てきちゃった……」と安定のMC。益子寺かおりが「じゃあその涙、歌で止めてあげる」と歌いはじめたのは、鈴木聖美 with Rats&Starの「TAXI」のカバーだった。ベッド・インは椅子に座り、益子寺かおりは歌、中尊寺まいはアコースティック・ギターをじっくりと聴かせた。最後はフロアも〈I love you tonight〉の大合唱に。そした、アコースティック・ギターを弾く中尊寺まいだけを残して、ひとりずつステージから去っていった。

 しかし、ベッド・インはダブルアンコールで再登場するやいなや「なにしんみりしてるんだよ!」「ドッキリ大成功!」「こんなベッド・インは嫌だ!」と、さっきの流れは定番の持ちネタであることを自ら暴露。

 そして、バブル時代の性地(聖地)である赤坂に捧げるべく、「スーパージョッキー」方式の生着替えを披露。このネタは、キャパシティが2桁程度の会場でライブをしていた頃からやっているのだが、キャパシティが4桁の赤坂BLITZになってもまだやっているのが感慨深い。

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 生着替えでビキニ姿になると、2017年2月15日にメジャー1stシングルと映画『101回目のベッド・イン』のDVDがリリースされることをアナウンス。さらに、次のワンマンライブが2017年3月19日に六本木EX THEATERで開催されることを発表した。タイトルは「ベッド・インの『MOGITATE! 元気が出るプッツン5ショー』」。ベッド・インにとって初の座位(座席)スタイルもあるワンマンライブだ。

 来年には中尊寺まいも30歳になり、ふたりとも30代となるベッド・インだが、「なんてっ勃ってアイドル!」と強調。再び日本にバブルの嵐を巻き起こすことを宣言して、フロアを盛りあげた。

 その熱気のまま、「SEXY HERO」へ突入。続く「C調び〜なす!」ではベッドメイキングガールズも再登場し、さらには大量の紙幣(のような紙)もフロアにまかれた。その光景はさながら「2016年バブル納め」の感すらあった。

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 振り返ってみれば、1月17日にワンマンライブが開催されたのは渋谷WWWだった(http://realsound.jp/2016/01/post-6075.html)。ベッド・インは、それからわずか約11カ月で赤坂BLITZへとたどりついたのだ。その間に、ベッド・インはミュージシャンとしてのこだわりが詰まったアルバム『RICH』をリリースして、オリジナル曲が一気に増えている。しかし、ワンマンライブとなると、誰もが知る楽曲のカバーも披露するなど、サービス精神も健在だ。そして、WWWのときよりも音楽そのもので勝負するようになっていた。

 メジャー・デビューなど、大きな変化があった2016年のベッド・インだが、「弾けないバブルを貴方に…」というコンセプトがブレることはいささかもなかった。その姿勢を貫いたからこそ、2016年の快進撃が実現したのだろう。

 2017年のベッド・インはより景気が良くなる。ベッド・インが最後に叫んだ「ギルガメッシュ!」の声に、そんな確信を新たにしたライブだった。

■宗像明将
1972年生まれ。「MUSIC MAGAZINE」「レコード・コレクターズ」などで、はっぴいえんど以降の日本のロックやポップス、ビーチ・ボーイズの流れをくむ欧米のロックやポップス、ワールドミュージックや民俗音楽について執筆する音楽評論家。近年は時流に押され、趣味の範囲にしておきたかったアイドルに関しての原稿執筆も多い。Twitter

■オフィシャルサイト
http://bedin1919.chu.jp/

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