ベッド・インが貫く“弾けないバブル” 過去最大規模のおギグを徹底レポート
2016年12月18日、ベッド・インのワンマンライブ『祝!”RICH” 発射記念ツアー 〜そこのけ そこのけ バブルが通る〜』が赤坂BLITZで開催された。
11月から札幌、新潟、広島、福岡、名古屋、大阪、仙台と各地でおギグ(ライブ)を開催し、赤坂BLITZで迎えたツアー・ファイル。そして、ベッド・インの単独公演として過去最大規模ながら、見事パー券(チケット)をソールド・アウトさせて当日を迎えた。
開演前にはバブル感に満ちた楽曲たちが流れ、さらに写真撮影自由ということで「ご自由に『写ルンです』してください」とアナウンスするなど、ここでもバブルネタを忘れていなかった。
会場が暗転すると、ノイズにまみれたラジオ音が流れ、次の瞬間、ステージ背後のライトが一気に点灯してフロア側を照らした。性徒諸クン(ベッド・インのファンの総称)の大歓声の中、ステージ前の幕に益子寺かおりと中尊寺まいのシルエットが浮かんだかと思うと、次の瞬間、幕が落ちてベッド・イン、バックバンドの“パートタイムラバーズ”、そして6人のバックダンサー“ベッドメイキングガールズ”がステージに現れた。1曲目の「GOLDの快感」から色とりどりのジュリ扇が振られ、熱狂のヴェルファーレ状態だ。
特筆したいのは、益子寺かおりのボーカル、中尊寺まいのボーカルとギターはもちろんのこと、パートタイムラバーズの演奏も脂の乗った状態だったことだ。まさにツアーの成果だろう。ポリネシアン・キヨⅡ世のギター、アダムタッチ高橋のベース、 スローセックス石島のドラム、舐める派JAPANのキーボードは、ただの「ベッド・インのバックバンド」とは呼ばせない安定感とソリッドさをあわせもっていた。セクシーな男闘呼(おとこ)たちだ。
「GIVE ME!〜哀・してる〜」も、アルバム『RICH』で聴いていた以上に生演奏だとエキサイティングだ。
益子寺かおりの「今日はやまだかつてない熱帯夜にしようね……♡」というMCから「Summer Dream」へ。生演奏だとこれほどダイナミックな楽曲になるとは、アルバムで聴いた段階では想像もしていなかった。作曲に参加した益子寺かおりは、この楽曲について「渡辺美里さんが西武ドームで歌っているようなイメージで作った」と私がインタビューしたときに語っていたが(http://realsound.jp/2016/07/post-8525.html)、まさに巨大なミラーボールが降臨する西武ドームの幻覚を見てしまいそうなほどだったのだ。
「太陽を信じて…」では、益子寺かおりの声量のあるボーカルと、中尊寺まいの甘い声質のボーカルの対比も鮮やかだった。
中尊寺まいが「今夜、一番の熱帯夜じゃない?」と言うと、益子寺かおりが「後ろまでキツキツよ……♡」「かおりの下半身のポケベルも鳴りっぱなし……♡」と返すなど、MCも通常運行。かと思うと、フロアを見渡して「チェリーボーイ、チェリーボーイ、J.BOY!」と、浜田省吾の名盤『J.BOY』30周年ネタまで織りこむ芸の細かさも見せつけた。満員の会場を見渡して「お枕の甲斐があった……♡」とジョークを混ぜつつも、ふたりは感慨深そうだった。
そして、インディーズ時代の2014年に8センチ短冊シングルでリリースした「POISON〜プワゾン〜」へ。中尊寺まいがギターを置いて、ふたりでWinkばりに歌い踊った。
そして、ここまでメジャー1stアルバム『RICH』からのオリジナル曲を中心に演奏してきたが、アン・ルイスの「あゝ無情」のカバーも披露。ベッド・インとパートタイムラバーズによるアレンジは、原曲よりもタイトにしてハードだ。カバーでも完全にベッド・イン with パートタイムラバーズのカラーを見せつけるようになっていた。ステージ両脇にあるお立ち台では、ギターを弾きながら中尊寺まいが大胆に脚を上げるので、こちらが「あゝ……」と思ったほどだ。
さらに、荻野目洋子の「ダンシング・ヒーロー」のカバーまで投下。原曲からダンス・ミュージック色を抜いて、ロック色に染めあげたアレンジだ。間奏のメンバー紹介では、パートタイムラバーズがソロを聴かせる中、なぜか中尊寺まいだけは手品を披露していた。「ZIG ZAG ハートブレイク」はさながらハードロックだ。
ここでベッド・インとパートタイムラバーズが一旦ステージから去ると、「タレントショップ『ベッド・イン』のチーフバイヤーの北岡」を名乗る人物が登場。ベッド・インのマネージメントを務めるスペースシャワーネットワークの北岡氏では……? それはともかく、彼は言葉巧みにグッズ紹介を始めた。「2500円」の商品を「2500万円です!」と言う方式で、しかもひとつ商品を紹介するごとにベッド・インの歌うジングルが鳴っていた。仕込みが細かい。