『LIVE TOUR 2016~Rainbow~』東京公演レポート
山本彩が表現する、SSWとアイドル性の絶妙バランス 『Rainbow』ツアー東京公演から紐解く
会場の盛り上がりは、NMB48の楽曲「僕らのユリイカ」で最高潮を迎える。同グループの中でも人気の高いこの楽曲は、『NMB48 Live House Tour 2016』NMBチームNメンバーによるバンド編成でも披露しており、さらに遡ると2014年の『AKB48グループ夏祭り』のソロライブでも山本は卓越したギター演奏を見せていた。ステージ前方に置かれたスピーカーに足をかけ、バンドメンバーと背中を合わすこの日のライブでの立ち振る舞いは、彼女のアーティスト性を感じさせた。ラストは、「こうやって足を運んでくださるみなさんがいるってことは日々日常に私が存在しているということ」とファンに感謝を伝えながら、続けて「一つひとつの幸せが重なって今日という日を迎えられていますし、その幸せを実感しながら私は歌を歌っていきたい」と話し、しっとりとしたバラード調の「幸せの欠片」で本編を終えた。
熱烈なアンコールに答えた山本は、劇場公演『NMB48 チームN 3rd Stage「ここにだって天使はいる」』の楽曲「初めての星」でライブを再開。まだまだNMB48の山本彩はここにいる、と言わんばかりにハンドマイクでファンのコールに応えていく。アコースティックギターを携えると、山本の代表曲になったAKB48「365日の紙飛行機」へ。のちのMCで「私にとって大事な曲になった」と話していたが、NMB48 14thシングル『甘噛み姫』には山本ソロ名義での「365日の紙飛行機」が収録されている。名実共に、山本を推し進めていった曲であり、これからも歌い続けていくことを感じさせた。シンガーソングライターとしての夢が叶ったこと、そして今回のツアーを通してレインボーローズの花言葉である“無限の可能性”を胸にもっと前に進んでいきたいと話し、「目標にしていることに突き進んでいける活力になれるよう前に進んでいくので、山本彩をよろしくお願い致します」と挨拶すると、彩コールが会場に巻き起こる。山本が満面の笑みを浮かべたまま、スガ シカオが山本に送ったポップチューン「メロディ」で大団円を迎えた。
バンドマスターとしてバックバンドを従え、ギターをかき鳴らす山本の姿はロックアーティストのそれであり、「心の盾」のような自身で作詞・作曲を手がけた楽曲では等身大の彼女を見ることができた。一方で、ハンドマイクを片手にファンに目配せをする山本は現役のトップアイドルでもある。ステージには、二足のわらじを履く現在形の山本彩がいた。本人も何度も口にしていた“無限の可能性”という言葉は、彼女に向けられたものでもありファンに向けられた言葉でもある。ファンが山本の人柄、生き方、そして放つメッセージに呼応しているのをライブの空気を通して感じた。山本彩がファンと共に進むシンガーソングライターへの道は、たしかに“無限の可能性”を秘めている。そんなことを強く確信したライブだった。
(取材・文=渡辺彰浩/メイン写真=(C)Sayaka Yamamoto)
■セットリスト
1.ヒトコト
2.レインボーローズ
3.抱きしめたいけど
4.BAD DAYS
5.彼女になりたい
6.愛のバトン
7.雪恋
8.月影
9.疑問符
10.ひといきつきながら
11.心の盾
12.スマイル
13.僕らのユリイカ
14.幸せの欠片
En1.初めての星
En2.365日の紙飛行機
En3.メロディ
■リリース情報
『Rainbow』
発売日:10月26日(水)
初回限定盤(CD+DVD)価格:¥3,300+税
DVD収録内容:『雪恋』(ミュージックビデオ)
特典映像1:レインボーローズ/2:アルバム「Rainbow」メイキング
通常盤(CD)価格:¥2,800+税
サウンドプロデュース:亀田誠治
アルバム内容(全13曲収録):
楽曲提供:TAKURO、スガシカオ、蔦谷好位置、百田留衣、亀田誠治