メトロノームがいよいよ復活! テクノへのこだわりとV系的世界観でメジャーシーンに挑む
さて、この活動休止中の間、シャラクは前述のGalapagosS以外にもメトロノーム活動休止前から平行して活動していたユニット・FLOPPYなど、リウは自身のソロと平行してケラ&ザ・シンセサイザーズなどで活躍。フクスケはやはりこちらも活休前からやっていたADAPTER。の活動を本格化させ、アニメ『BRAVE10』のEDも担当するなど、それぞれのフィールドでそれぞれの活動をしていた。
そんなわけで、「無期限活動休止」の「無期限」がいつまでなのかは誰にもわからなかったし、正直私はこの「復活劇」は寝耳に水だった。そこに追い打ちをかけるように、キングレコードからのメジャーデビューという驚くべきニュースも入ってきた。
THE SLUT BANKS、ベッド・イン、そしてメトロノームがメジャーデビューする今年のキングレコードはいい意味でどうかしているのだが……、それはさておき、状況をみるにこの「復活」が一時的な同窓会気分でやっているものではないというのは明らかだ。
この7年間のソロなどで広がった活動の幅の成果もメトロノームに反映してほしい(先日配布されたフリーペーパー『POPUNITED』によると、ソロの音楽性を反映するよりも「ファンの望む”メトロノーム”」をやりたいそうだが)。
9月21日に発売される『解離性同一人物』のリードトラックが公開されているのだが、タイトルもさながら歌詞が本当に後ろ向きで、復活第一弾シングルの歌い出しが〈君の記憶している僕と 僕の把握している僕は まるで別人のように存在が乖離している〉なんてバンド、私は他には知らない。思わず笑ってしまったもの、「これがメトロノームだな」って。
とにかく、メトロノームが「箱庭」の外に出て、この2016年のメジャーシーンで、後ろ向きにおどおどしつつも好き勝手に暴れまわるのを、私は観たいのだ。
(文=藤谷千明)