EXILE ATSUSHIはなぜマーヴィン・ゲイと美空ひばりを同時に歌う? 宗像明将の東京ドーム公演レポ

EXILE ATSUSHI東京ドーム公演レポ

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 EXILE ATSUSHIの15年を振り返る映像を挟んでから、ニュー・プロジェクトであるRED DIAMOND DOGSが登場。ATSUSHIがボーカル、PHEKOOがキーボード、FUYUがドラム、DURANがギターを担当する4人編成のバンドだ。ロック・バンドかと思ったが、実際にはブラック・ロックと言いたくなるぐらいR&B色の濃い演奏だった。

 そして、再び約40人のバンド編成に。ファンキーな「LA LA~孤独な夜に~」では、EXILE ATSUSHIがゴンドラカーの天井に立ち、ボールを投げながらアリーナを周遊しはじめた。ファンクラブで当選したファンはEXILE ATSUSHIと両手でハイタッチできる特典があったようで、彼にハグされるファンが出るたびに、東京ドームでは歓声が渦巻いた。

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 EXILE ATSUSHIがステージに戻ってきてから「昭和の大スター」として招き入れたスペシャル・ゲストが、まさかの加山雄三。EXILE ATSUSHIが加山雄三を「ジャパニーズ・フランク・シナトラ」と紹介したので、開演前にフランク・シナトラを流していたのはこの伏線か、とやっと理解した。驚きも冷めやらぬ間に、初めて生で「君といつまでも」を聴くことに。なお、加山雄三は補聴器と間違えられるのでイヤモニをつけなかったが、現在はEXILE ATSUSHIと同じイヤモニを注文してつけているというエピソードも紹介されていた。加山雄三はフランク・シナトラの「MY WAY」を、それこそ呼吸でもするかのようにナチュラルに歌いあげた。

 本編ラストは「Choo Choo TRAIN」。アリーナに銀テープが舞いおりた。

 そして、ここで時間軸は冒頭に戻る。アンコールにボーイズIIメンが登場したのだ。加山雄三が出てきた後に、さらにボーイズIIメンである。EXILE ATSUSHIとボーイズIIメンは「On Bended Knee」「End Of The Road」「One love」と3曲も共演。そして、最後の最後にEXILE ATSUSHIひとりで「願い」を歌うと、ステージ上の階段をのぼって去っていった。

 ジャズ、ソウル、J-POP、演歌、そしてR&B……。ジャンルを一切問わずに、とにかく歌いたい楽曲を歌う、潔いほどのライブだった。EXILE ATSUSHIの個人的な趣味性が出ても、大衆性は必ず担保する。そのバランス感覚こそが、約3時間半ものライブを成立させていた。

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