乃木坂46、『裸足でSummer』で見せた変化ーー坂道シリーズと“夏曲”の動向から分析

 一方、歌詞の描写もかなり興味深い。「近くにいつも 大勢いるよ 男友達 その中の一人が僕だ」と、男性視点の歌であることをかなり明確に表している。裸足になって奔放に駆け出す「君」と、それに振り回されたり恋心を抱きつつも「今の距離感 心地いい」と気持ちを隠している「僕」の関係性を描いている。

 「夏のFree&Easy」「太陽ノック」など、乃木坂46の“夏曲”はこれまで「開放的な季節と臆病な自分のジレンマ」を曲のモチーフにしてきたわけだが、一方で「ガールズルール」のように男子禁制の女子校イメージも打ち出してきた。そう考えると、この曲に登場するような「近くにいつも男友達が大勢いて、それをいいように振り回す女の子」という像はかなり新鮮だ。「いつもの夏と違うんだ」という歌い出しも印象的である。

 「サイレントマジョリティ」で欅坂46に「反抗期」的なシリアス路線を歩ませる一方、「きっかけ」と『それぞれの椅子』以降の乃木坂46は、「女優的」というか、より大人の女性としての魅力を開花させるような楽曲を歌っていくようになるのではないだろうか。

 そんな予感もする。

■柴 那典
1976年神奈川県生まれ。ライター、編集者。音楽ジャーナリスト。出版社ロッキング・オンを経て独立。ブログ「日々の音色とことば:」Twitter

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