ジャニー社長と蜷川幸雄が築いた“演技派ジャニーズ”の歴史 共演果たしたラジオ番組が再放送に
演出家の蜷川幸雄氏が5月12日、80歳でこの世を去った。これに伴い、ジャニーズ事務所の社長であるジャニー喜多川氏が追悼のコメントを発表、続いて東山紀之、錦織一清、植草克秀、岡田准一、森田剛、二宮和也、松本潤、亀梨和也といったこれまで蜷川演出の舞台に立ったジャニーズ所属タレントたちが悲しみのコメントを寄せた。
舞台やコンサートにおけるパフォーマンスを大切にするジャニーズ事務所では、蜷川氏の存在はとても大きいものだったという。ジャニーズの動向に詳しい芸能ライター・佐藤結衣氏に話を聞いた。
「今も舞台を中心に活躍されているベテランのジャニーズメンバー、少年隊や元男闘呼組の岡本健一さんなどは、蜷川さんの舞台に立ったことで演技派となった方たちです。森田剛さんや、二宮和也さんが演技派として高く評価されるようになったのも、また木村拓哉さんなどがドラマの主役を務められるようになったのも、みなさん蜷川さんの門を通ったということが大きいと思います」
今回のように、ジャニー氏が訃報に対してコメントを発表することは極めて珍しいことであるが、蜷川氏とジャニー氏の親交の深さは、昨年放送のラジオ番組での共演で明らかにされていたと佐藤氏は語る。
「ラジオ局の年始特番だった蜷川さんの番組にジャニーさんがゲスト出演したことがあって。ジャニーさんはあまりメディアに登場されない方なので、ファンの間で大きな話題になりました。番組では50年来のお付き合いということで、赤裸々なトークが繰り広げられ、お二人の関係性がよく伝わってきました。蜷川さんの舞台に出ているメンバーは『いい子いない?』と蜷川さんがジャニーさんに尋ねて連れてこられた人たちだという話や、ジャニーさんがメンバーのことを『You』と呼ぶ理由が、メンバーの名前が覚えられないからだというトークまで飛び出していましたね」
ジャニー氏は演技指導において蜷川氏に絶大な信頼を寄せ、蜷川氏はジャニー氏のタレントの才能を見抜く力に大きな信頼を寄せていた。また、ジャニーズメンバーにとっても、蜷川氏は父のような存在であったと佐藤氏は続ける。
「ジャニーズ事務所では、基本的にダンスしか指導をしないので、演技派になるにはメンバーがそれぞれ場数を踏んでいくしかない。そんな環境の中、スパルタで容赦なくとことん演技指導にあたってくださった蜷川さんは、メンバーにとってジャニーさんに次ぐ第2の親のような存在だったはず。蜷川さんに育て上げられた演技力の伝統を後輩へしっかり受け継いでいくことが、彼らにとっての“親孝行”になるのではないでしょうか」