小林武史はなぜミスチル曲にストリングスを導入?「ボーカルのメロディーに対するカウンター」

 音楽プロデューサーの亀田誠治がJ-POPのヒット曲を分析するテレビ番組『亀田音楽専門学校 SEASON 3』(NHK Eテレ)。1月22日放送分では、RIP SLYMEをゲスト講師に迎え、「J-POP文明開化の時代」をテーマに講義を行った。

 冒頭、番組は2000年から2005年は新しいアーティストが次々と登場し多彩な才能が花開いた、まさにJ-POPが文明開化した時代だと説明。宇多田ヒカル「Can You Keep A Secret?」、ケツメイシ「さくら」、浜崎あゆみ「M」、椎名林檎「ギブス」、SMAP「世界に一つだけの花」、BUMP OF CHICKEN「天体観測」など数多くの曲を紹介し、R&Bの宇多田ヒカルや平井堅、ヒップホップのケツメイシ、青春パンクのロードオブメジャー・MONGOL800・175R、レゲエの三木道三、ミクスチャーのDragon Ashと、多種多様のジャンルがヒットチャートを賑わせ、新しい風が吹いてきたタイミングだったと紹介した。亀田はこの時代について「ヒット曲を作らなくては」という縛りが解け、アーティストが自由にやりたいことを表現出来るようになったと語り、さらに『ROCK IN JAPAN』や『SUMMER SONIC』などのフェスの開催、iPodの発売を例に挙げ、自由な音楽の聴き方が浸透していったと説明した。

リズムの楽園

 亀田は、2000年から2005年の音楽について「様々なリズムを体で感じるようになった」と話し、平井堅「楽園」(R&B)、MOGOL800「あなたに」(パンク)、三木道三「Lifetime Respect」(レゲエ)を各ジャンルの「リズムの名曲」として例に挙げた。リズムの違いはノリの違いでもあり、体を使った音楽の楽しみ方もこの時代に豊かになったと分析。さらに、拍と拍の間でリズムを取る“裏”で乗ることもこの時代から始まったとし、RIP SLYMEのRYO-Zも「裏のニュアンスを意識すると黒人っぽい」のだと話した。亀田はこの時代にリズムの世界が広がった理由について「90年代は曲に装飾を『足し算』して音楽を盛り上げていった時代だったが、この時代は『引き算』をして音楽の根本にあるリズムが際立った」とまとめた。

 サンバのリズムを取り入れたRIP SLYMEの代表曲「楽園ベイベー」について、DJ FUMIYAは「元々サンプリングを使って全く違うリズムで作っていたが、許諾の手続きが時間がかかるため作り直して。夏だしブラジルの音楽が好きだったので、サンバのリズムを取り入れました」という誕生秘話を話した。RYO-Zはこの変更点について、サンバのリズムにしたことで「ポップスになった」とコメント。亀田は「この時代はリズムでも多彩な表現が出来るようになり、メロディー主義からリズム主義になった」とまとめ、RIP SLYMEは「楽園ベイベー」をパフォーマンスした。

 番組後半では、ヒップホップに取り入れられるサンプリングをフィーチャー。サンプリングとは、既存の曲の一部を引用して、ループさせたり組み合わせたりして曲を作るテクニックだが、PESはサンプリングで作曲を行なう理由として「みんなが知っているヒット曲の一番気持ちのいいサビだけを繋げる感覚じゃないですかね」とPESが話し、実際にDJ FUMIYAがFUNK INC.「KOOL IS BACK」の一部をサンプリングし、2枚の同じレコードでリズムトラックを作成した。亀田は、サンプリングによって、曲の作り方がより自由になったと話し、続けてDJ FUMIYAが作成したリズムトラックにRIP SLYMEが「亀田音楽専門学校 校歌」ラップバージョンを乗せて披露した。

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