乃木坂46は悲しみからどう這い上がったか? 『紅白歌合戦』落選から出演決定までの1年間を振り返る

新たな挑戦が広げた演技の可能性

 今年はメンバーが演技を“好きになった”1年だったとも言える。初めてメンバー全員が出演したドラマであるテレビ東京『初森ベマーズ』、福神を除くメンバーによるオーディションで選ばれた舞台『じょしらく』、12thシングル3列目メンバーによる『すべての犬は天国へ行く』が春から秋にかけて行われた。これらに3作に立て続きに出演した松村沙友理が「演技の楽しさを知った」と語るなど、これまで『16人のプリンシパル』でしか知らなかった演技の世界を大きく広げることに成功した1年だったといえるだろう。『初森ベマーズ』は48グループの『マジすか学園』ほどのキラーコンテンツになれたとは言い難いが、“演技力”を特色のひとつにするグループにとって大きな経験だっただろうし、“アイドルにしかできない舞台”『じょしらく』と“アイドルであることが活かせない舞台”『すべての犬は天国へ行く』を経験できたことは大きな収穫だ。今年もグループを飛び出してドラマや映画、舞台で活躍するメンバーが見られたが、来年はよりモチベーションを高く持ち、様々なステージで活躍することになるだろう。

ライブで示した「最新版乃木坂46」

 今年の乃木坂46の活躍はどの方面でも目覚ましいものだった。ではこれまでと何が違っていたのかといえば、紅白出場という目標に向けて一致団結したことが何より大きい。そして、常に進化を続ける「最新版乃木坂46」を見せてくれたのが、西武ドームにて行われた『3rd Year Birthday Live』と『真夏の全国ツアー2015』だった。前者では7時間半という異例のライブを極寒の西武ドームで成功させ、後者では広島を新たに加えた地方のアリーナツアーと、昨年悔し涙を流した神宮球場でのライブを2daysでやりきってみせた。両公演ともに、グループの並々ならぬ気迫とレベルアップしたパフォーマンスだったし、紅白出場発表後に行なわれた『Merry X'mas Show 2015』では、様々なアプローチで「魅せる」ライブを披露しファンを楽しませていたことも記憶に新しい。

 また、2014年にスタートし、グループ全体に大きな変革をもたらした『アンダーライブ』は、今年ついに武道館単独ライブという目標を達成した。平日の2daysで18:30開演と決して好条件とは言えないなか、アンダーメンバーのみでの武道館ライブを、2年を待たずして成功させることができたのは、メンバーの熱意とそれに応えるファンの力があってこそだ。そして、2016年には全国ツアーという新たな展開が待っている。どこを回りどの規模でツアーを行うのか、発表が待ち遠しい。

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