DE DE MOUSEが音楽で表現する“ファンタジー”とは?「その奥にある毒がじわじわ染みこんでいく」

DE DE MOUSEがファンタジーに託すもの

「自分がやりたい表現をやるからこそ、生臭いことを考えないと」

――今回は子供の声のサンプルを多く使ってますね。

DE DE MOUSE :今回のもうひとつのテーマが「子供向け」ということでした。とえば児童向けのCDをフィル・スペクターがアレンジしたらどうなるか。児童向けのレコードってアレンジが簡素なんだけど、そこをゴージャスにしたらすごくエモーショナルなものになるんじゃじゃないかと、ずっと考えてたんです。それを今作では自分なりにやってみました。

――子供の視点というのはDE DE MOUSEの音楽では重要なポイントだと思います。

DE DE MOUSE :そうですね。今回特に子供に聴いてもらいたい気持ちが強かったですね。この季節に子供たちが聴いて、オトナになって聴いた時に、こんなにいい曲だったんだって思ってもらいたい。僕自身が子供の頃にさんざん聴いた"そりすべり"をオトナになって聴いて、改めて感動したように。

――子供の頃を懐かしく思い出すことはありますか。

DE DE MOUSE :それはあまりないですけど、何を考えていたんだろうって思いますね。僕は今の自分が一番いいと思って生きてきたし、昔に戻りたいとは絶対思わない。でも感傷的になりたい時はあるから。

――ノスタルジーというファンタジーですね。

DE DE MOUSE :ノスタルジーに浸るのは好きだし、僕の作品を聴いた人がそういう気持ちになってくれるのは嬉しいけど、そこにネガティヴな意味は一切ない。そういう気持ちに浸って、よし明日から頑張ろうって思えるような作品でありたいと思ってます。地に足の着いたファンタジーが好きっていうのは、そういうことかもしれないです。

――DE DE MOUSEのアルバムを聴いている1時間の間だけでも、ファンタジーの世界に遊んで、子供のころを思い出して楽しい気分になったり切なくなったり…。

DE DE MOUSE :あ、そうですそうです。

――聞き終わったらまた現実に戻されるかもしれないけど。

DE DE MOUSE :最後にそれを見せつけるのが大事だと思うんです。この時間が永遠に続くんだよとは思わせたくないし。機能的なテクノって、そこが逆なんですよ。同じことが何度も繰り返されて、永遠に続いていくんじゃないかと思う繰り返しの中でトリップする、という気持ち良さ。このリズム何周したんだろう、っていう。

――いわゆる「ハマる」ってやつですね。

DE DE MOUSE :そういう没頭感と、自分の提示する世界はある意味対極にあると思いますね。

――「永遠に終わらない夏休み」的な世界観とは違うと。

DE DE MOUSE :夏休みが永遠に終わらなかったら地獄だな~としか思わないから(笑)。ああいうループものって、アニメでもなんでも、好きだけど怖い。毎朝目が覚めると、また今日か、みたいな。これほど怖いものはないですよ。自分がその日一日生きた評価がゼロになるわけじゃないですか。それは僕が評価されたい気持ちが強いからそう思うのかもしれないけど。

――自分の足跡を残したい。

DE DE MOUSE :そうですね。それはすごいあって。音楽の教科書に載るようになりたいという気持ちもあります。そういう欲求とか願望とかどろどろしたものは僕、けっこうあからさまに持ってるんだなって、こうやって話をすればするほどわかりますね(笑)。

――今日初めてお話しして、けっこう生臭い人なんだなと思いました(笑)。

DE DE MOUSE :そういう話、好きですねえ(笑)。自分がやりたい表現をやるからこそ、生臭いことを考えないと。ただきれい事を言っても…仙人じゃないんだから。霞を食べてるわけでもないしね。だからといってそれを前面に見せると、リスナーとかファンは引いていっちゃうから。そのへんを考えながら、自分のやりたいこととビジネスのバランスをいつも考えながら活動してきたんです。

(取材・文=小野島大)

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DE DE MOUSE『farewell holiday!』

■リリース情報
『farewell holiday!』
発売中
価格:CD+DLカード 2200円(税抜)

<収録内容>
01. friday comers
02. nice avalanche
03. farewell holiday!
04. thousand better things
05. thursday waltz
06. bedtime flight
07. a dozen raindrops
08. play tag
09. finally evening
10. wooden horse rendezvous
11. bloomy chorus

■イベント情報
『Roland × OTOTOY × not records presents 「DE DE MOUSE farewell holiday!
exhibition」』
12月1日~6日
OPEN : 12:00〜20:00 ※入場無料 at 渋谷ヒカリエ8F SHOWCASE – aiiima2

『farewell holiday! release party』

2016年1月9日(土)東京都 多摩六都科学館プラネタリウム
夕方の部 OPEN 18:00 / START 18:30
夜の部 OPEN 20:00 / START 20:30

料金:各公演 前売 3,800(椅子席、整理番号順入場、自由席
※夕方の部はソールドアウト
夜の部のみチケット一般販売スタート
e+

2016年2月10日(水・祝前)東京都 LIQUIDROOM
『 "DE DE MOUSE × 1" at 東京 恵比寿リキッドルーム』
OPEN 19:00 / START 20:00
料金:前売り¥3,800(スタンディング・ドリンク別
e+
チケットぴあ(0570-02-9999) P code : 282-240
ローソンチケット(0570-084-003) L:75588)

『Billboard Live presents DE DE MOUSE「farewell holiday!」release one-man live』
2016年2月28日(日)大阪府 Billboard Live OSAKA
1st stage OPEN 17:00 / STAGE 18:00
2nd stage OPEN 20:00 / STAGE 21:00

料金:自由席¥5,700/カジュアル席¥4,200(1ドリンク付き)
一般販売:12月21日(月)~

DE DE MOUSE official web site live schedule

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