ニューシングル『衝動』インタビュー
HaKUが新曲で打ち出した、オリジナルな音楽と自信「好きにやってたどり着けた感覚がある」
「そこまで具体的に情景が浮かぶ歌詞ってなかった」(三好春奈)
ーー歌詞は、かなりストレートな表現がされています。
辻村:結構ストレートですね。“恋の衝動”って言えちゃうぜ、みたいな(笑)。これも前作で気づけたとこなんです。昔は、聴く人によって答えが何通りもある、聴くたびに答えが変わって受け取れるような歌詞の書き方をしてたんです。シンプルな言葉をあえて使わず、いろんな鎧を着せて届けるみたいな。それはそれで好きだけど、そこを経て、お客さんに言葉を伝えるときに、わかり易い言葉を使った方がいいんじゃないかなって思うようになってきたんです。シンプルな言葉の組み合わせ方で、詩的になったり、感動させるものになったりできるし。さらに音と組み合わさることで、オリジナルになるって考えられるようになってきたんです。あと、この曲は書き下ろしだったので、原作に答えやヒントがあったので、書いたらナチュラルにできましたね。
ーー男女の距離感、近づきたいって思いが描かれていますが。
辻村:原作がエロいじゃないですか。でも読み進めていったらハマっちゃって。読んでるとめっちゃ切なくなるんですよね。根本的なところは、自分らの学生時代と全然変わらないんですよ。心の揺れ動くさま、触れたくても触れられない思春期の距離感ってあるじゃないですか。その距離感が派手になってるだけで。なので、ギリギリの距離感を大事に歌詞にしてみようと思いました。人物の気持ちの揺れ動くさまを歌詞の中で上手く書きたいなと思っていたら、「衝動」って言葉が出てきたんです。
ーー「衝動」って、初期衝動って言葉があるように、人間の根本の感情を突き動かすものですし、曲の雰囲気にしっかりハマっていますね。あと、“モノクロの感情 始まりの口付けで鮮やかに色をつけて”ってところは、HaKUのバンドのらしさが出てます。
辻村:そこは考えました。1サビはストレートな表現で、2番のサビはもっと詩的に自分の気持ちを書いた方が合ってるんじゃないかなと思ったんです。
三好:私は、2番の“キミのその瞳で見つめてほしいよ 呼吸が止まって鼓動が聞こえる”ってフレーズが好きですね。今まで、そこまで具体的に情景が浮かぶ歌詞ってなかったので、すごくイメージもしやすかったです。もっとこうやって歌おうかな?って考えるのも楽しかったですし、歌の表情もつけやすいですね。
ーーあと、ラストのサビに向かっていくところのタメや、ブレイクが入ることでさらに気持ちの飛距離感が伸びるなと。
辻村:そこもかなりこだわりました。「衝動」のドキドキする感情を最後にもっと演出できたなって。
ーーそして、ミュージックビデオは、ドラマの井口昇さんが監督で、主人公の中川大志さん、武田玲奈さんが出演されたショートムービー的な作品となっています。
辻村:ストーリー性のある実写で、役者さんが出てくれたMVは初めてなんです。ドラマを作っている方たちが、この曲に対してまた新たな世界を作ってくれるのがうれしくて。
ーードラマのパラレルワールドって感覚ですよね。
辻村:そうですね。井口さんは、寿司が人を喰う映画『デッド寿司』とか、過去の作品がすごくて(笑)、怖い人なのかなと思いながら事前に打ち合わせに行ったんですけど、とても笑顔の素晴らしい人でした。
三好:もっと強面の方を想像してたら、すごくニコニコって、穏やかな方で。
辻村:しかも、カッコいいの撮りたいっておっしゃってくれたんです。井口監督も、普通にカッコいいものを撮るのがあまりなかったらしくて(笑)。
三好:MVを撮ることもあまりなかったらしくて、すごく気合を入れてくださって。最初のプロットの段階でしっくりきました。
辻村:あと、役者さんも出てくださることが決まったときに、僕から監督にダンスシーンを入れたいって言ったんです。
ーー中川さんと武田さんのダンスは、辻村さん発信だったんですか。
辻村:そうなんです。僕の中では役者さんはなんでもできるってイメージがあったので(笑)。1度見たら踊りたくなる、頭に残る振り付けを考えていただいて。 そしたら中川くんも武田さんも切なくてキュンとくるダンスを踊ってくれて。バンドとダンスのバランスが面白かったです。僕らの音楽はダンスミュージックって言ってるので、いつかMVにダンスを入れたかったんです。このタイミングでできたのはすごくうれしかったし、いいMVにしていただいたなと思います。
ーーバンドの演奏シーンも、すごく躍動感のあるカッコいい感じになりましたね。
三好:とてもいい青い光の感じになってるんです。カメラワークにしろ、監督の頭の中にあったものなんですよ。
辻村:あと、ストーリーにしていただくのはプロの方たちなので、お2人の演技も素晴らしかったですし、ストーリー性のある映像作品になってほんと感動でした。