米津玄師が希求する“普遍的な音楽”とは?「『愛している』という表現を恐れてはいけないと考えた」

米津玄師が希求する「普遍的な音楽」とは

「人間は明るい部分と暗い部分を一つの心の中に両立することができるもの」

ーーアルバムのアートワークも、そうしたテーマと関わっているのでしょうか。

米津:アルバムを作り終わって、では絵を描こうと思ったときに、アルバムの曲をエンドレスで聞き流しながら何となく絵筆を滑らせたらこういう形になりました。明確な意図があってできあがったものではないですが、自分の中では整然とした理由というものがあってこの作品ができたという気はしています。ただ、その具体的な理由を言葉にして表現することは難しいですね。

ーーアルバムの中にある明るい面とダークな面がミックスされたアートワークだと思いますが、アルバムではその光の部分と影の部分の両面が拮抗した感じで終わっていて、それがさらに作品の強度を高めていると感じました。

米津:「光です」とか「闇です」のように明確に割り切れるものではないですし、人間とはもともとそういう矛盾した要素をはらんでいるものではないかと。明るい部分と暗い部分を一つの心の中に両立することができるから、あることに対してこういうことだと言ったとしても、一方ではその真逆のことも平気でいえる存在が人間だと思います。決してそれが悪いことだとは言えませんし、そういうものなんだと考えています。なにも矛盾を感じなく生きていこうということは、なにも言わないことと同じだと思っています。

 アルバムの中の曲でも、暗い部分と明るい部分のように相反すること、つまり、こちらの曲ではこう言って、他の曲では全く違うことを言うという配置をすることで、結果的になにが残るんだというのを見たかったんです。結局、そういう相反するものというのは明確には分けることはできないと思います。

ーー2016年に入ると、全国ワンマンツアー「米津玄師 2016 TOUR / 音楽隊」が始まりますが、ライブを行うことへのモチベーションはいかがですか。

米津:以前に比べたら意欲的、という状況ですね。以前はライブを開催する必要もないくらいに考えていましたし、自分の音楽活動にライブという考えは全くありませんでしたね。そういう感じで必要性を感じていませんでしたが、最近になってライブをやり始めるようになり「ライブが楽しい」ということまで思えるようになりました。次のツアーについて、今いろいろディスカッションをして、他人の意見に純粋に賛同できる自分の姿勢を省みるときに、次第にライブに対する意欲が大きくなってきているということを感じます。

ーーそれはやはり、ファンの人たちとライブで直接触れ合うことができるようになったということが、そういう意識につながったのでしょうか。

米津:目のまえに自分の音楽を聴いてくれる人がいて、その人の表情が見えるというのは、すごくチカラがある空間の存在を感じます。そういうことが、自分の音楽に対する考え方を変えてきてくれたんだと思います。

(取材=神谷弘一)

■リリース情報
『Bremen』
発売:2015年10月7日
【CD収録曲 (全形態共通)】
1 アンビリーバーズ
2 フローライト
3 再上映
4 Flowerwall
5 あたしはゆうれい
6 ウィルオウィスプ
7 Undercover
8 Neon Sign
9 メトロノーム
10 雨の街路に夜光蟲
11 シンデレラグレイ
12 ミラージュソング
13 ホープランド
14 Blue Jasmine

・画集盤(初回限定)
CD+画集イラストポストカード(22枚)
紙ジャケット、ブックレット、ブリスターケース
価格:¥3,900(税抜)

・映像盤(初回限定)
CD+DVD
DVD:「アンビリーバーズ」「フローライト」「メトロノーム」MV収録
価格:¥3,300(税抜)

・通常盤
CD
価格:¥3,000(税抜)

■ツアー情報
「米津玄師 2016 TOUR / 音楽隊」
1月9日(土) Zepp DiverCity
1月12日(火) 徳島club GRINDHOUSE
1月13日(水) 高松オリーブホール
1月15日(金) Zepp Namba
1月16日(土) Zepp Namba
1月22日(金) Zepp Nagoya
1月24日(日) 新潟LOTS
1月26日(火) 仙台Rensa
1月30日(土) Zepp Fukuoka
1月31日(日) BLUE LIVE広島
2月3日(水) Zepp Sapporo
2月6日(土) Zepp Tokyo
【追加公演】
2月11日(木・祝) 東京 豊洲PIT
2月12日(金) 東京 豊洲PIT

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