宗像明将がBiSの“その後”を追う

BiS解散から1年、元メンバーたちの「今」は? 宗像明将が徹底追跡レポート

 2014年7月8日に横浜アリーナで開催された『BiSなりの武道館』でBiSが解散してから丸一年が経った(参考:BiS解散ライブを徹底レポート あえて「立つ鳥跡を濁す」結末に)。

 BiSとは、実はマネージャーの渡辺淳之介と、サウンド・プロデューサーの松隈ケンタの物語だったのではないかと考えることがある。かつて、ある会社のスタジオで出会った若い2人は、渡辺淳之介のつばさレコーズ(後のBiSの所属事務所)入社を機に、本格的にタッグを組んで音源を世に送り出していくことになる。2人のコンビの長さは、薄い本がコミケで売られても不思議ではないレベルだ。

 渡辺淳之介と松隈ケンタは、そのフロントを、ソロ時代のプー・ルイ、BiS、プラニメ、そしてBiSHと変えてきただけなのではないか、とも考える。そして、それはこの1年で確信に変わった。ただそれだけのことだ。

 しかし、歴代の主演女優たちのことも忘れてはいけない。BiSの解散後、最後に残った6人のメンバーがどんな活動をこの1年間にしてきたかをまとめていきたい。話の流れ上、BiSHについても言及する。

プー・ルイ

 BiSの解散後、プー・ルイが「プールイ」に改名したことをまず記しておく。ここでは便宜上、BiS時代をプー・ルイ、解散後をプールイと表記を区別する。

 BiSの中でも、いち早くソロ・プロジェクトを始めたのはプー・ルイだった。2013年12月24日に始動を発表したバンドが、LUI◇FRONTiC◆松隈JAPAN。当初は、プー・ルイ、オプティマス松隈(松隈ケンタ)、テンペスト竹内、小原just begunから成るグループだった。

 2014年2月22日に、ファースト・ワンマンライブ『ジャポニカ学習ライブ』を下北沢SHELTERで見たが、持ち曲がないからとミニ・アルバム『JAPONiCA!!』の5曲だけを2回繰り返したのには、フロアで絶句した記憶がある。また、「落ちサビ」と呼ばれるケチャポイントで、ケチャではなくクラップを求められたことも複雑な印象を残した。初のワンマンライブなのに松隈ケンタが欠席でもあった。

 プールイは、2014年7月10日から42日間連続イベントを開催することになる。その前々日がBiS解散ライブ、前日は「元BiS」としてのライブだったので、要は休みなしで42日間連続イベントに突入したことになった。

 2014年11月19日には松隈ケンタが脱退。2015年1月11日には、「埋まらなかったら活動休止」と宣言していた渋谷CLUB QUATTROでのワンマンライブを開催し、ここでメジャー・デビュー、そしてLUI FRONTiC 赤羽JAPANへの改称を発表した。アンコールで元研究員(元BiSファンの総称)が歌ったNATURE DANGER GANGの「オレたち!」が今も耳に残っている。

 2015月3月25日に『リプミー』でメジャー・デビューしたが、一方でプールイは新ユニット「プールイ パラレル JAPAN」での活動も開始した。今年の『TOKYO IDOL FESTIVAL 2015』には、2日間のうち初日のみ、このユニットで出演するという。つまりアイドル活動も再開したということになる。

 BiS解散から1年を経て、バンドとアイドルの両方をしているのがプールイの現状だ。

ヒラノノゾミ、ファーストサマーウイカ

 NIGO(R)と渡辺淳之介がプロデュースするユニットとして、ヒラノノゾミとファーストサマーウイカが参加したBILLIE IDLE(R)。とにかくライブをしないのでヲタが暇だ。週に2回ぐらいライブをしてほしいと懇願したい。以下、詳しく解説したい。

 メンバー募集の結果、モモセモモ、ヤスイユウヒを迎えた4人編成になったBILLIE IDLE(R)。2014年11月11日にファンクラブ「IDLE FELLAS」の募集を、なんと年会費3万円で開始したが、第1次特別会員100人の枠が即座に埋まり、BiS後の勢いを感じさせた。

 2015年1月11日には、関係者とファンクラブ第1次特別会員を対象として、渋谷club asiaでお披露目ライブ『BILLIE IDLE LAUNCH SHOW』を開催。

 2015年3月3日には『anarchy in the music scene』がiTunes Storeで配信された。これはプラスチックスを連想させるサウンドだった。この楽曲のMVはタケイグッドマンが監督。こちらも80年代テイストだ。

 2015年4月1日に発売されたデビュー・アルバム『IDLE GOSSIP』は、マスタリングを“まりん”こと砂原良徳が担当。ジャケットは爆風スランプの1984年のアルバム『よい』をイメージさせるなど、やはり80年代要素が散見される。

 2015年4月4日にはデビュー・ライブ『IDLE GOSSIP SHOW (NOT IDOL, NOT KAWAII)』をラフォーレミュージアム原宿で開催した。H2Oの「想い出がいっぱい」やTOM☆CATの「ふられ気分でRock'n' Roll」のカヴァーで騒ぐ元研究員を巡って、ライブ後にTwitterで議論が沸き起こったが、要は「NOT IDOL」の解釈をめぐる問題だった。BILLIE IDLE(R)はアイドルなのか、と。個人的には興味がない話題だ。

 それはさておき、楽曲やMV、アートワークの80年代感はやや狙いすぎだと感じていたが、ライブだとその辺りがいい感じに薄まっていた。ヤスイユウヒとモモセモモの歌も安定している。

 2015年6月6日には、同じくラフォーレミュージアム原宿でワンマンライブ『BILLIE IDLE(R) presents First Summer Days』を開催したが、花道を効果的に使ったステージングや、常に息切れした犬のようなヤスイユウヒのさらなる台頭などが見所であった。ただ、「これから制作期間に入る」「夏フェスに出るかもしれない」と話しただけで、次の現場が告知されないまさかの展開となった。そもそも東京では1月、4月、6月にしかライブがなかったのだ。贅沢は言わないので、週に2回ぐらいライブをしてくれると、ファン的にはちょうどいいのだが……。

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