EXILEドラマが見せる、成熟した男たちの群像劇 『ワイルド・ヒーローズ』の可能性と課題とは

 日本テレビ系日曜夜10時30分から放送されている『ワイルド・ヒーローズ』は、新しいドラマ枠「日曜ドラマ」の第一弾となる作品だ。すでに次クールでは少年ジャンプで大ヒットした漫画『デスノート』のドラマ化が決まっており、新しい若者向けドラマの流れを生み出すのではと、期待されている。

 『ワイルド・ヒーローズ』は、10年前につるんでいたヤンキーグループ「風愛友」(フー・アー・ユー)の仲間たちがある少女をヤクザたちから守るために再結集し、バラバラだった絆を取り戻すという物語だ。

 主演のキー坊を演じるのはEXILEのTAKAHIRO。「風愛友」の仲間たちを演じるのは青柳翔、野替愁平、八木将康といった劇団EXILEのメンバーと岩田剛典、黒木啓司、佐藤大樹といったEXILEメンバー。

 つまり、EXILEグループの俳優を主演に揃えたEXILEドラマである。

 EXILEドラマは、EXILEのメンバーもしくは派生ユニットのメンバーが主演を務めるドラマのことだ。元EXILEのリーダーだったHIROが代表取締役をつとめる芸能事務所LDHの俳優が中心となって作られているのが大きな特徴だ。

 EXILEドラマには、二つの系譜がある。一つはAKIRA、松本利夫などの30代のメンバーが主演を務める作品だ。

 代表作は『町医者ジャンボ!!』、『ビンタ!〜弁護士事務員ミノワが愛で解決します〜』(ともに日本テレビ系)などで、『GTO』(フジテレビ系)もここに含めていいだろう。おそらく狙っているのは、かつて長渕剛が主演をつとめた『とんぼ』(TBS系)や『しゃぼん玉』(フジテレビ系)の男臭い世界観だ。

 もう一つは、劇団EXILE出身の若手俳優が出演する群像劇だ。『ろくでなしBLUS』や『シュガーレス』(ともに日本テレビ系)など、ヤンキーが主人公の学園モノが多い。

 映画『クローズZERO』のヒット以降、ヤンキーの群像劇は映画やドラマでは定番化しているジャンルだが、EXILEのような大人数のグループを束で見せる際にはとても重宝する枠組みだ。

 ダンスグルーブということもあってか、アクション活劇とも相性がよく、活きのいい若手俳優を発掘するためのショーケースのような役割を果たしている。

 他にも『フレネミー~どぶねずみの街~』(日本テレビ系)のような闇社会で生きる若者を描いた作品も多く、不良やヤクザが多数登場し、殴り合いや銃撃戦といった喧嘩で事件を解決するドラマが多い。

 『ワイルド・ヒーローズ』は、これらの要素そすべて盛り込んだ総決算的な作品だ。主人公たちも元不良で、今は社会人として地道に生きている29歳の青年たち。ドラマ自体はシンプルな構成で毎回、クライマックスでは激しいアクションも用意されている。

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