沢田チャレンジが語る、時代の変化と音楽の挑戦「全部のオセロをひっくり返したい」

「ここまでロックミュージックに執着してるのは、自分でも謎」

ーー改めて聞きたいんですけど、沢田さんはバンド以外でも仕事をやっていますよね。

沢田チャレンジ:はい。

ーーしかもそこでもちゃんと結果を出している。なんでそこまでロックにこだわるんでしょう?

沢田チャレンジ:それは『MUSICA』の有泉さんにもしつこく訊かれたんですけど、そこはやっぱり「好きだから」以外に答えられないんですよ。別にバンドでバカ売れしたいとか、お金持ちになりたいとか、大成功したいとか、そういう願望もあんまりない。もちろん評価されたいとは思ってます。でも、ロックにこだわり続けるのは「好きだから」でしかないんです。

ーーモテたいという気持ちはあります?

沢田チャレンジ:もちろんあります。

ーー結婚して子供が産まれてもモテたい?

沢田チャレンジ:そうですね。格好いいと思われたい。単にルックスじゃなくて、男として格好いいと思われたいっていうのはもちろんある。だけど、別にモテたいからバンドを始めたわけでもなかったんです。こういう言い方すると反感買うかもしれないけど、バンドやる前の学生時代から普通に彼女とかもいたし。

ーーははは!

沢田チャレンジ:ロックがなかったら社会と繋がれないタイプでも全くなかったんです。だから、なんで自分がここまでロックミュージックに執着してるのは、自分でも謎。そこだけは自分でも紐解けてないところなんですよね。でも、そこがザ・チャレンジの面白さになってるのかもしれない。ただの戦略で考えつくされたバンドで終わらないのはそこなのかもしれないとは思います。

ーーそこがザ・チャレンジの面白さだというのは、どういうことなんでしょう。

沢田チャレンジ:結局、フォーマットがいくら完璧に作られて戦略的にやっていても、ステージで垣間見えるのってそこからこぼれた素の部分だったりしますよね。ももクロだってそうだと思うんです。常に笑顔でやってるんだけど、負荷をかけられているから、どっかでギリギリのところが見えてしまう。そこにグッときたりする。実はそういうところは自分にもあるのかもしれない。どれだけ隠そうとしても出ちゃう、という。

ーー沢田さんは、ももクロ以降のアイドルカルチャーをどんな風に見ていますか?

沢田チャレンジ:実は僕、そんなにアイドルは詳しくないんです。自分の中ではももクロの衝撃が全てなんですよ。

ーーももクロって、それまで「アイドルは○○しない」と思われていたことを全部やってしまう痛快さがあったわけですよね。ザ・チャレンジとしても、そこに影響を受けている部分がある。

沢田チャレンジ:ありますね。まさに仰る通りです。だからザ・チャレンジは表面的な意味でアイドルっぽいことをやりたいわけじゃない。ももクロは「アイドルがやりそうにないことをアイドルがやる」ということにカタルシスがあったわけですよね。そこが最高にロックだと思った。それをロックバンドでやってるんです。だから、ロックバンドがやりそうにないことを、あえてやる。そこが面白いという。

ーーたとえば?

沢田チャレンジ:インディーズの頃に出した最初のミニアルバムでは、ウチのメンバーが山手線を一周走ってお店回りしたんです。それをPVにもして。東京駅、秋葉原、池袋って一駅一駅回って、最後に渋谷に戻ってくる。そういうロックバンドがやらないようなことをやる方が面白いし、そこに意味があれば絶対楽しんでもらえると思うので。

ーー「ロックバンドがやらなさそうなこと」というのには、ファンとのコミュニケーションも含まれてますか?

沢田チャレンジ:それもありますね。アーティストは神聖なもので、ステージ以外の日常は見せないとか、格好つけてないといけないっていうことがセオリーなんだとしたら、そこを変えていった方が面白い。その方が新しいコミュニケーションの形が作れると思います。

ーー握手会みたいなこともやります?

沢田チャレンジ:ただ、アイドルグループがやってることをなぞって、そのままやりたいわけではないんです。だから握手会とかはやってなくて。唯一やってるのは撮影会かな。

ーー僕は、ロックバンドは握手会もサイン会も全然やっていいと思うんですけどね。

沢田チャレンジ:それはなんでですか?

ーー仕事柄、フェスの楽屋エリアによく行くんですよ。そこでいつも思うことがあって。たとえば夏の野外のロックフェスに行くと、ミュージシャンが楽屋で遊んでたり、出番が終わったらすぐ帰ったりする。もちろん、何をやってもいいんです。でも、その前の週に行ったアイドルフェスと、どうしても比べちゃう。「この時間帯にアイドルの女の子たちはお客さんと握手してCDを売ってるのになあ……」って思っちゃう。特に新人バンドに関しては「それでいいの?」って。

沢田チャレンジ:それは僕も思うところはすごくありますね。その通りだと思います。だから、フェスでサイン会をやるブースがあったら、僕らは全部エントリーします。こないだの「VIVA LA ROCK」でもやりましたし、トークショーの誘いがあったら全部やる。最初から最後までずっと動き回る。そこにビジネスチャンスがたくさんあるのに、それをみすみす逃すのは嫌ですから。だから、リリースのタイミングではCDが一枚でも多く売れるようにしたい。いいモノを作ったという自信があるわけですから。チャンスがあれば全てのことに対してエントリーしてやるべきだし。でも、意外とロックバンドはそういうことをやってないと思うんです。だから、そういう意味では、すごい助かってるんですよね。

ーーでもまあ、それはやっぱり「沢田チャレンジ」というキャラクターを背負っているからこそできることですよね。

沢田チャレンジ:そうですね。メンバー全員にそれを背負わせるつもりはないんですけれど、沢田チャレンジには負荷をかけて、やれることは何でもやろうって思ってます。熱湯風呂に入れって言われたら入る準備はできているというか。それで聴いてもらえる人や面白がってもらえる人が増えるんだったら何やってもいいなと思ってますね。自分のやってることはバンドの人間から「アイドルみたいなことをやりやがって」とか「ロックバンドらしくない」とか言われたりもするんです。そういうレッテルを貼られている。そう思う人はそれでいいのかもしれないけど、自分としてはロックバンドはもっと自由であっていいと思ってるんですね。

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