香月孝史がファン層拡大戦略を分析

乃木坂46が急速に支持を拡大した背景 ラジオ・モデル活動など"外向き施策”を読む

 その流れは4月14日放送の『NOGIBINGO!4』の企画でファッション雑誌への乃木坂46メンバー起用が次々決まったことや、かねてよりモデルを志向する川後陽菜が『Popteen』で専属モデルを目指して同誌モデルの前田希美と対決するといった直近の企画にまで波及している。ファッションを活路に世間に浸透する機運を作ったこのグループならではの動きだが、同時に企画性が強くなることはファン以外の層からの反発を招きやすくなることにもつながる。チャンスの機会が多いことそのものはプラスに違いない。やや企画色の強い直近のこれらの動きに際して、メンバーや運営がいかに真摯さをみせられるかが、受け入れられるかどうかのポイントになる。その舵取りの如何は今後を占うことになりそうだ。

 いち早くファッション方面では独自の強みを見出し、ファン層の拡大に向けた外向きの施策を切り拓いた乃木坂46だが、この春からはまた異なるジャンルを開拓しようとする動きもみえる。4月からは新内眞衣、衛藤美彩、中元日芽香、橋本奈々未と、メンバーが相次いでラジオのパーソナリティやアシスタントとして起用されている。あるいは、音楽専門チャンネル「100%ヒッツ!スペースシャワーTVプラス」でマンスリーレギュラー番組になった『Tokyo Girls' Update』のMCを桜井玲香が務め、48系のグループが関わるイメージの薄い音楽専門チャンネルに地歩を固める第一歩を踏み出した。いずれもまだ始まったばかりの段階で、今後どのようにグループの武器にしていけるのかは未知数ではある。とはいえ、既存ファン以外の目に各メンバーが触れるための道筋を引き続き用意する姿勢が垣間見える。

 乃木坂46はもともと、AKB48の企画に積極的に関わることよりも、独自の得意分野を模索することで現在の躍進を導いてきた。そうした成果が、今年の全国ツアーの開催規模拡大につながっていることを考えれば、見てきたような最近のグループの動きも納得の行くものといえる。この春には生駒里奈と松井玲奈の交換留学も解除になり、乃木坂46はさらに独自路線を疾走することになりそうだ。

■香月孝史(Twitter
ライター。『宝塚イズム』などで執筆。著書に『「アイドル」の読み方: 混乱する「語り」を問う』(青弓社ライブラリー)がある。

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