きのこ帝国・佐藤が明かす、音楽家としての”根っこ”「誰かと出会いたい一心で音楽をやっている」

「自分たちの心が震えるものを常に出したい」

——今後メジャーで自分たちのどういう側面が出ていくと思いますか?

佐藤:自分たちの心が震えるものを常に出したい。それがどういうものかは、メンバーで共通してるんですよ、不思議ですね。なぜかシンクロするんです。今後は結成10年を目標にやりたいなと思います。

——若いメンバーのバンドなのに8年続いていることがまずすごいですね。

佐藤:ハングリーですから。田舎から出てきた身としては、一旗揚げないと帰れないという意識があるから、そこが違うところですね。

——「一旗揚げたい」とは具体的にどういうことなのでしょう。

佐藤:たとえば美空ひばりさんって、歌い手として憧れの対象なんです。人生を感じるというか。そういう表現者になっていきたいなと思うし、それを多くの人に「いいよね」と言われたらすごく幸せなことじゃないですか。「自分は何者なんだ」と人それぞれ悩むと思うんですけど、自分が満たされる瞬間は、自分の作った音楽が「いい」と言われた瞬間しかないんで、「日本征服」みたいな感じですね。

———美空ひばりのどこがそんなに好きですか?

佐藤:天才と言われて出てきて、それで終わらずに素晴らしい歌い手として後世まで聴かれたじゃないですか。あの人が何を考えて歌っていたかは全然わからないんですけど、歌う様に圧倒される感覚はあって、「世の中がこう求めてるからこう歌う」とか一切ないんじゃないかと思っていて。自分が歩んできた人生から言葉を紡いできたアーティストって貴重だし、尊ぶべきだと思います。

——きのこ帝国から美空ひばりの話を聞くという展開が意外でした。佐藤さん自身から見た、ヴォーカリストとしての佐藤さんはどう見えるんですか? 「東京」から大きく変わったと思います。

佐藤:自分の声や歌が、心情を表現するにあたって、いい器になるように努力したいと思いますね。ただうまく歌うことが目標になったらダメだと思います。

(取材・文=宗像明将)

■リリース情報
『桜が咲く前に』
発売:2015年4月29日
UPCH-80400 / ¥1,296(税抜)
収録楽曲
01. 桜が咲く前に
02. Donut
03. スピカ

『桜が咲く前に』特設サイト

■ライブ情報
きのこ帝国 presents「echoes 2」
6月20日(土) 東京・LIQUIDROOM
ゲスト・plenty

http://www.kinokoteikoku.com/

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