嵐・相葉雅紀『ようこそ、わが家へ』は当たり役となるか 過去の出演作から考察
相葉の純朴で柔和なキャラクターが世間的に見いだされたのはむしろ、04年にレギュラーとなった『天才!志村どうぶつ園』(日本テレビ)だろう。動物とのコミュニケーションを通じて、素直に感情を表現する相葉の魅力は、09年に連続ドラマ初主演作となった『マイガール』でも発揮された。同作で相葉は、学生時代に交際を続けていたが死別してしまった彼女・塚本陽子の娘を、男手一つで育てる青年・笠間正宗役に。大人しく穏やかな性格の主人公が、慣れない娘との生活をほのぼのと演じるホームドラマは、相葉本人のパーソナリティにも近く、まさに当たり役だったといえよう。相葉はこの作品で、日刊スポーツ・ドラマグランプリ秋ドラマ主演男優賞も受賞している。その後、11年の『バーテンダー』(テレビ朝日)でバーテンダー役を、12年の『三毛猫ホームズの推理』(日本テレビ)で刑事役を、『ラストホープ』(フジテレビ)で医師役を、それぞれ主演で務めたが、どんな職業でも穏やかでどこか可愛げのあるキャラクターを演じていたのは、相葉の演者としての方向性が定まっていったことの表れだろう。
『ようこそ、わが家へ』の主人公・倉田健太もまた、相葉のそうした路線ーー穏やかで優しく、どこか可愛げのある青年像ーーを踏襲したキャラクターであることは間違いない。前出のインタビューで相葉は余計なことを考えず、あくまでも素直に演じると明かしているが、そうしたスタンスで臨めるのは、役どころと相葉自身のイメージが重なっているから、という部分も大きいだろう。しかも、『マイガール』に続くホームドラマである。ハマらないわけがない。穏やかで家族思いという相葉のキャラクターが、サスペンスという枠組みの中ではどのように動くのか。つい期待が高まってしまうのは筆者だけではないはずだ。
(文=松下博夫)