Little Glee Monsterが圧巻のスタジオ“生”ライブ ソロ歌唱から見える6人の個性とは?

かれん「Automatic」(宇多田ヒカル)

 

 かれんが選んだのは、自身に強い影響を与えた宇多田ヒカルのデビュー曲「Automatic」。グループ内では普段ハモりで注目されることの多い彼女だが、この日はかなり緊張気味でときどき声を震わせながらも1曲歌いきった。かれんには独自のリズム感が備わっているように感じられ、「Automatic」のようなR&B調の楽曲を歌わせたときにその魅力が一気に開花するように思う。そういう意味ではベストな選曲だったと言える。

MAYU「花火」(三代目J Soul Brothers)

 

 6人中最後に歌ったMAYUは、三代目J Soul Brothersの「花火」をセレクト。女性がこの曲を歌うという意外性も強いが、何よりも彼女の透き通った高音の抜けの良さに驚かされる。自身では以前「声がハスキーで、高音をそのままストレートに出すのが苦手」と言っていたが、ファルセットと地声を使い分けたその歌唱法はさすがの一言。デビュー前後から急成長している印象も強く、確実に「自分ならではの歌」を掴み始めている気がする。

 以上、6人の個性について駆け足で解説してみたが、最後にもう1つだけ。こういった番組企画のためだけにいつものバンドメンバーをスタジオに呼び、ライブセットを組んでスタジオライブを行うことを考えた制作スタッフには頭が下がる。彼女たちの魅力をベストなやり方でリスナーや視聴者に提示する、その姿勢は多くの「音楽に携わる者」が見習うべきかもしれない。手軽に音楽が作れ、そして手軽にネットで配信できてしまう今だからこそ、こうした手の込んだやり方を通じた作り手側の思いは絶対に受け手側に伝わるはずだ。事実、この日の総視聴者数は前回までの倍以上を記録しているのだから。

■西廣智一(にしびろともかず) Twitter
音楽系ライター。2006年よりライターとしての活動を開始し、「ナタリー」の立ち上げに参加する。2014年12月からフリーランスとなり、WEBや雑誌でインタビューやコラム、ディスクレビューを執筆。乃木坂46からオジー・オズボーンまで、インタビューしたアーティストは多岐にわたる。

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