ART−SCHOOL木下が語る活動休止と再出発(後篇)「戦うんだっていう覚悟はできてる」

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「自分がいいと思うものが売れるんだって思えばいいと思うんですよ、すべての表現者は」

ーーでは、ART-SCHOOLにとって、あるいは木下理樹にとっての「芯の部分」とは何ですか。

木下:表現者であるということですね。表現者でなければ生きてゆけない。

ーー表現者として、何を表現するんですか。

木下:…「自分」ですね。「自分という存在」。自分の中にあるもの。メロディかもわかんないし、歌詞かもわかんないし。中にあるもの。それはまっすぐなものだから。そこはぶれないっていうのは、自分でわかってるので。たとえば…クルマの話をすると、ホンダってメーカーはぶれないわけですよ。でもモデル・チェンジはしていくわけで。(今回の活動休止は)そのモデル・チェンジの準備のための期間だってことですね。

ーー時代の変化に応じてモデル・チェンジはしていくんだけど、ホンダイズムみたいなものは変わらない。木下イズムも変わらない。

木下:そう。モデル・チェンジをしていかないといろんな変化についていけなくなる。でも「芯の部分」は変わりようがないんで。

ーー自分自身の内面みたいなものを表していくことと、それをお客さんに理解・共有してもらうことは、また少し距離がありますよね。

木下:そうですね。そのためにモデル・チェンジをしていくということです。

ーーなるほど。

木下:その距離を少しでも縮めるために。

ーー今回の「モデル・チェンジ」は、どういうことを考えているんですか。

木下:独立して自分で会社起こしてレーベルを立ち上げて、ということで既にモデル・チェンジになってると思うんですよ。自分とチームのメンバーで一緒に、一番いい方向を考える。でも核になるのは、あくまでも自分が作る音楽であって。そこは変わらない。今は曲作りの期間で、それからレコーディングに入りますが、いいものを作りたいという衝動は常に持ち続けていかないとダメですよね。

ーー独立することで自分の音楽はどう変わっていきますか。

木下:単純にいえば、自分の生活が、よりダイレクトに音楽に響いてくる。そうすることで…よりお客さんに信頼してもらえるようになるんじゃないかな。

ーー嘘がなくなっていくということ?

木下:嘘っていうか、余分なこと。削ぎ落としていって、核だけ見せる。その<核>が美しいカタチであればいいなと思います。磨いて磨いて美しいカタチに仕上げていく。まあ今までもやってきたことをやるだけなんですけどね。今までは、売れ線の曲を書けとか言われるのがすごくストレスだったので。何が売れるかなんて誰にもわからないし、自分がいいと思うものが売れるんだって思えばいいと思うんですよ、すべての表現者は。売れるっていうか「届く」っていうか。そこはすごく真摯にやっていくし、そうすることでお客さんに対しても、より真摯に向き合っていけると思う。ちゃんと顔が見える、信頼できる人たちと仕事して、そこで「これだ!」ってものを作るのが、真摯な表現になると思います。もし失敗しても自分の責任だし。そういう姿勢はお客さんにもちゃんと伝わると思うんです。

ーーお客さんの期待値もあがりますね。

木下:そうですね! 戻ってきた時に、やっぱりART-SCHOOL最高だねって言わせるだけの説得力を持って戻ってきたいですね。リスナーの人たちを失望させるような作品は絶対出さない。ART-SCHOOLらしい作品を、より良くなって戻ってきたなって思ってもらえるような作品を届けたい。今はとにかく気持ち的にも充実してます。よりまっすぐな気持ちですね。戦うんだっていう覚悟はできてます。どんな状況でも自分らしくあり続けたいし、そのこと自体がもはや戦いですから。

(2月17日・東京にて取材)

(取材・文=小野島大/写真=竹内洋平)

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