菜食主義、シェアハウス、パーティ……現役パンクロッカーが見た、アメリカ・パンクスの生活

アメリカの特殊なアルコール事情

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アメリカでのバーの様子。ほぼどこでもこんな感じだ。

 アメリカでも日本でも、ストレートエッジや酒の飲めない人でない限りパンクスには酒を飲む人間が多い。浴びる程飲む人間も星の数ほど存在する。日本ではビールの種類はそれほど数多くはない。しかしアメリカになると、とんでもない種類のビールがあるため、一番気にいった物を探す間にツアーが終わるなんてこともあるだろう。

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コンビニのビールの棚。コレの2倍はある。スーパーマーケットに行くと、何十メートルもある通路の片側すべてがビールだったりする。

 基本的にパンクス達は金が無いので安いビールを飲む。日本で言う発泡酒、第三のビールのようなものだ。これは本当に安く、30缶入りで20ドルぐらいのものを飲んでいた記憶もある。ライブハウスなどでも出演者であれば2〜3ドルで飲めたり、安いビールなら飲み放題なんてこともある。ものすごくたくさんの種類のアルコールがあり、選ぶのに苦労するが、酒飲みには楽しいひと時であったりもする。

 アメリカはアルコールに関しては厳しい法律が各州で決められており、基本的には屋外でアルコールを飲むことは出来ない。移動中の車内でも飲酒の法律が厳しい州では飲めないこともある。オールエイジショーなどのアルコール禁止のライブでは、水筒のような容器にウォッカやジンなどの強い酒で作ったドリンクを持っていたりする人間もいるほか、屋外でもアルコールを飲むことが出来ないため、車の中がドリンクコーナーとなり、アルコールが飲みたい場合には、いちいち車まで行かなくてはならないなんてこともあり、日本人にとってはかなり面倒な一面もある。

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今回テキサス州オースチンには3日滞在したので、昼間にも庭で飲めるバーに行ったりしていた。
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ワシントンのBARの様子。みんなが飲んでいるのがPBRといって安くて一般的にパンクスがみんな飲んでいるビール。

 基本的に食事は食事、酒は酒と、食べることと飲むことで別れており、日本のように居酒屋で何か食べながら飲むということがほとんど無い。金があればそういったレストランで飲みながら食べることも出来るだろうが、食事を済ませてから酒を飲みに行くというのが定番だ。

 外で酒を飲むのは基本的にバーになるが、ビール以外のアルコールでは、ビールの合間にウイスキーをショットで飲んだり、結局最終的にウイスキーを飲んでいたりと、アメリカではウイスキーも定番の酒だ。ウイスキー好きなアメリカ人にはこだわりを持っている人間も多く、色々なウイスキーをアメリカで飲んだ。ほかにも焼酎や日本酒以外の洋酒ならほとんど何でも飲めるので、アメリカのバーは酒飲みにとっては居心地の良い場所になるだろう。

 ウイスキーの飲み方にも色々あり、ロック、ショットが定番だが、珍しかったのは、初めてアメリカに行った時のロサンゼルス、サンディエゴ周辺を一緒に廻ったSTAR STRANGLED BASTARDSの飲み方だ。1パイントグラスに半分程ギネスビールを注ぎ、ショットグラスにアイリッシュウイスキーとベイリーズを半々に注ぐ。そしてパイントグラスの内側にショットグラスを持ち、乾杯の後、ショットグラスをビールの中に落とし一気飲みをする”CAR BOMB”と言う飲み方。この飲み方には各自の好みで酒の種類を変えていて、色々な物があり大変危険だが、盛り上がる事も受け合いである。

 ほかにもビールの缶を振ってから逆さまにして缶の下の方に穴をあけ、そこに口をつけプルトップをあけ一気飲みするなど、日本ではない様な飲み方を色々と知ることも、酒飲みにとっては楽しみだ。言葉が通じなくともアルコールを通して友人が出来ることは多い。そうして次回また行った時に酒を酌み交わし親交を深めるのも海外ツアーの楽しみだ。

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