西廣智一が“伸び盛りシンガー”の可能性を分析

片平里菜は“ギタ女”枠を抜け出した 半年ぶり新作で提示するアーティストとしての成長

 2014年は“ギタ女”元年と言えるほど、数多くの“ギターを手に歌う”女性シンガーがシーンを賑わせた。テレビ番組やWEB、雑誌などで特集が組まれたほか、夏フェスにもギタ女枠ができるほどの盛り上がりで、彼女たちに憧れてギターを始めた10代女子も少なくない。そんな中、ギタ女枠で括られるアーティストで、業界内やリスナーの間で頭1つ飛び抜けた存在として片平里菜の名前が挙げられる機会が多い。ただカワイイだけではなく、女性としての強さ、周りに媚びない姿勢が反映された楽曲が、同世代を中心に人気を集めている。そして素朴だが強い意思を持つ彼女に、TOSHI-LOW(BRAHMAN、OVERGROUND ACOUSTIC UNDERGROUND)、細美武士(the HIATUS)をはじめとする上の世代のアーティストからラブコールが送られ続けている現実も興味深い。彼女が単なるブームの中から登場した“One of Them”ではないことが伺えるエピソードと言えるだろう。

 そんな片平里菜が通算4枚目となるニューシングル「誰もが / 煙たい」を、来年2月25日にリリースする。彼女を世に知らしめるのに一役買った2ndシングル「女の子は泣かない」を今年1月に発売して以降、4月に3rdシングル「Oh JANE / あなた」、そして8月に初のアルバム「amazing sky」と、立て続けに作品を発表し続けた2014年前半の片平。「10代の頃に書いた曲や、10代の頃を思い浮かべて書いた曲が多い」という1stアルバムにて、プロのシンガーやアーティストに憧れた彼女の音楽人生・第1章はある意味完結したと言える。このアルバムを携えた自身2度目のワンマンツアーも11月から12月にかけて実施され、各地で大盛況となったのも記憶に新しい。僕もツアー序盤の大阪公演を観たが、ツアー2本目とは思えないライブの完成度と、より表現力、説得力が増した歌声に驚かされた。

 半年強というこれまでで一番長いインターバルを経て放たれる新作「誰もが / 煙たい」は、片平の音楽人生・第2章のプロローグを飾る1枚だけに、期待度は相当なものがあるはず。実際にその期待を大きく上回るだけの名曲がここに完成したのだから、半年待ったかいがあったというものだ。しかもこの表題2曲からは、彼女のアーティストとしての成長や新たな可能性がたっぷり感じられる。

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