アイドル戦国時代の次なる指標 ソロアイドル=武藤彩未の「パフォーマンスの進化」を追う

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 毎回趣向を大きく変えたワンマンライヴをほぼ2ヶ月ごとに開催し、その変化にしっかりと応えて急成長していく武藤彩未。『A.Y.M. Live Collection 2014 ~変化~』『A.Y.M Live Collection 2014 ~進化~』は、武藤彩未のそうしたエキサイティングな「変化」と「進化」を記録したDVDだ。

 まず「A.Y.M. Live Collection 2014 ~変化~」は、2014年4月29日にTSUTAYA O-EASTで開催された18歳のバースデーライヴ「DEBUT LIVE『BIRTH』」を収録したもの。

 このライヴを私は2階から見ていたが、とにかく暑かった記憶がある。もちろん会場の熱気のせいもあるのだが、TSUTAYA O-EASTのステージ上に高く組まれたセットから発する熱のために暑かったのだ。そもそも、ライヴハウスのTSUTAYA O-EASTにこれだけ大掛かりなセットが組まれるのを見たことがない。私の目線のすぐ下で動いていたカメラクレーンが捉えた映像は、会場の光景をダイナミックに記録している。

 広いステージにひとりで立つ身長149センチの武藤彩未の表情は、ライヴ中は距離的に把握しづらかったが、このDVDではよくわかる。そして改めて聴いても安定した歌唱だ。80年代テイストのきいた「Seventeen」の終わりで、決めポーズを2回して茶目っ気を見せるシーンもしっかり記録されている。「A.Y.M.」のかすかな色気は気のせいだろうか。そしてこのライヴの山場でもあった、「宙」でのレーザービームとミラーボールのカタルシスは強烈だ。ダンスナンバーではない楽曲でこうした演出をしているのが新鮮。終盤の「彩りの夏」や「明日の風」では、武藤彩未が笑顔のまま涙ぐんでいるように見える。汗だろうか? いや、それは映像を見た各自で確かめてもらおう。

 バラード「明日の風」では歌詞がセットに投影される。「好きだよってどんな風に言えばいいの?」という歌詞は、ともすれば18歳になった武藤彩未には子供っぽくも感じられるが、「歳相応」をどこに設定して魅力的に見せるかは、スタッフの絶妙な判断の結果でもあるだろう。

 特典映像には、この日の誕生日サプライズのシーンも収録。言い換えると、本編はあくまで歌メインだ。さらに、2014年5月10日に幕張メッセで開催された「KAWAii!! NiPPON EXPO 2014」での「RUN RUN RUN」も収録。ファンにタオルを回させて盛りあげる楽曲だが、大舞台での武藤彩未も堂々たるものだ。

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