アイドルの禁忌を正面突破した清竜人25 擬似恋愛もガチ恋も超えた「夫婦の営み」とは?

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 清竜人25の「夫婦の営み」はステージ上で完結する。夫人たちによるTwitterやFacebookを見ていると、夫人たち6人で楽しげに集まっているのに、夫であるはずの清竜人だけがいないことすらある。それだけで、アイドルとファンとの「つながり」事件にまみれた昨今のただれた状況へのアンチテーゼとして機能してしまうが、清竜人にはその意図が毛頭ないであろうところが恐ろしい部分なのだ。批評性を獲得しようとしなくても無自覚に批評的、という彼の勘所の良さが清竜人25の魅力を他にないものとしている。

 デビュー・シングル「Will♡You♡Marry♡Me?」もダンス☆マン編曲のソウル・ナンバー。Aメロで夫人たちが女の子の心情を歌い、Bメロで清竜人がファルセットを駆使しながら「俺のとこへおいで」と誘い、サビではもう結婚することになっている。強引にして有無を言わせない完璧な構成だ。「俺についておいでよ」という清竜人の歌に野太い歓声が上がっていたことも特筆したい。本編最後の「逢いたいYO~♪」はストレートにポップな楽曲だった。

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 ダンスでは、縦や横に一列に並ぶフォーメーションが多用され、視覚的にも気持ち良い。夫人たちが清竜人を囲んで随所でハーレム感を出すのもポイント。総勢7人いるので、ステージの端から端まで使う動きもよく考えられていた。

 アンコールでは初披露の「鬼の目にもナ♡ミ♡ダ♡」が歌われた。90年代のアーバンなシティポップのようなサウンドで、こういうサウンド自体は最近よく聴くのだが、清竜人25のような特異なユニットで聴くとまた別の味わいだ。しかも「明日から中学生」というような歌詞も聴いた気がするのだが、そうなると歌詞の主人公と小学生はどういう関係なのだろう? さまざまな関係性が錯綜しているのが清竜人25。どこに向かうのかさっぱり予測できないだけに、早く次の一撃をリリースで見せてほしくなる。

 「アイドル性のある者がエンターテインメントを見せる」という意味において、清竜人25は間違いなくアイドルそのもの。そして、こんなスタイルでアイドルとしての表現をできるのは、J-POPシーンの中でも今、清竜人25しかいないのだ。

■宗像明将
1972年生まれ。「MUSIC MAGAZINE」「レコード・コレクターズ」などで、はっぴいえんど以降の日本のロックやポップス、ビーチ・ボーイズの流れをくむ欧米のロックやポップス、ワールドミュージックや民俗音楽について執筆する音楽評論家。近年は時流に押され、趣味の範囲にしておきたかったアイドルに関しての原稿執筆も多い。Twitter

【セットリスト】
1.ラブ♡ボクシング
2.A・B・Cじゃグッと来ない!!
3.Call♡Me♡Baby
4.Will♡You♡Marry♡Me?
5.逢いたいYO~♪

En
1.鬼の目にもナ♡ミ♡ダ♡
2.どうしようもないよ…

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