Happiness、3年半の活動を経て辿りついた場所 新シングルに見るメンバーの成長とは?

 そして、レコード会社の移籍を経て、彼女たちの音楽は新たに生まれ変わった。5月にはシングル『JUICY LOVE』を発表、そして11月19日には最新シングル『Seek A Light』を発表する。デビュー時から現在まで、いろんな感情を味わってきたであろう彼女たちだが、この2曲ではそういった繊細さも含めて<攻め>のスタンスが貫かれている。ただ単にポップになっているとか、わかりやすいメロディになっているとか、踊りやすいリズムになっているとか、表面的なことではない。内面から涌き上がってくるようなエネルギーが、楽曲に躍動感をもたらしている。今回、本人たちにアンケート取材を行うことができたのだが、この成長ぶりについては彼女たちも実感しているようだ。

「自分たちで作り上げる!という意識が、少し成長したと思います。また作品に対して、メンバー一人ひとりが意見を言うようになりました。スタッフさんやメンバーとたくさんコミュニケーションをとりながらつくっているので、グループの一体感がさらに出てきたなと感じます。パフォーマンス面もパワーアップしたと言われることが多く、うれしいです」(楓)
「ヴォーカル力やパフォーマンス力、そして表現の仕方もすごく大人っぽくなったと思います」(須田アンナ)
「曲に対しての思い入れが強くなりました。今回の曲もどれだけ気持ちを入れられるか試行錯誤しました」(YURINO)

 表題曲の「Seek A Light」は、凛々しい歌メロと重層的なハーモニーのバッキングが、絶妙なバランス感を醸し出している。そして、プログラミングでは得られないであろうキラキラした高揚感に満ちあふれているのだ。暗闇で光を探す……というポジティヴかつ深い内容の歌詞は、彼女たち自身と重なるところもあったそう。

「“ヒトリじゃないから”というサビの部分は、まさに自分たちのことを歌っているなと思い、このサビを聴くとグッとくる部分があります」(MIYUU)
「歌詞が個人的に大好きで、自分自身この曲にすごく背中を押されたので、何かに行き詰まった時に聴いていただけたらいいなと思います」(須田アンナ)

 そんなHappinessの歌を共有できる場所がライブだ。キャッチーでタフでカッコいい彼女たちのポップ・ミュージックを、もっと多くの人に体感してもらいたいし、そういう意味では単独のコンサートも期待したい。そんな彼女たちがステージでパフォーマンスしている時、いちばん楽しいと思う瞬間をきいてみた。

「ファンの方に私たちの思いが届く時」(藤井夏恋)
「ファンの方々と目が合い、喜んでくださった時。私まですごく幸せになります! いつもありがとうございます♡」(川本 璃)
「みんなで気持ちがひとつになっているなぁと感じる瞬間。私たちの思いが伝わり、ファンの皆様が拍手であたたかく応援してくださっている様子を見た時」(SAYAKA)

 今回、カップリングには記念すべきデビュー曲「Kiss Me」の2014年バージョンが収録されている。デビュー時のフレッシュな印象とは異なり、歌詞の一つひとつに実感が込められていて、とても素敵なR&B/ポップスに仕上がっている。光も影も両方知っているからこそ体現できる深み。デビュー時は<K−POPへの日本からの回答>という役割を担っていた部分もあると思うが、気づけば今ではJ-POPの王道として認知されつつある(YouTubeのコメント欄は海外からのものも多い)。この3年半の歩みは、Happinessが「みんなをハッピーにする」ための必然的な道のりだったとも言える。そう、ムダなことなんて何ひとつないのだ。

■上野拓朗
エディター。『リズム&ドラム・マガジン』『CROSSBEAT』『ローリングストーン日本版』を渡り歩き、現在はPOKER FACEのプロデュースと制作を行いながら、FLJ magazineでも編集協力として携わっている。

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