宇野維正のライブオーディション『HARE NOVA』レポート
『HARE NOVA FINAL !!!!!』ライブレポート「原石としてどれだけ面白いものを持っているのか」
以上、充実のファイナリスト6組のほか、オープニングゲストとしてサブステージに3ピースバンドnicotenが登場して開演前のフロアを七色のポップワールドに染め上げ、イベントの最後にはニューアルバム『Catcher In The Spy』リリース翌日という絶好のタイミングでゲストアクトのUNISON SQUARE GARDENが登場、満員のオーディエンスの前で新曲にレア曲を織り交ぜた貴重なセットでフロアを大いに湧かせてくれた。
「今日出演したバンドの中には、今すぐフェスに出ても通用するような即戦力的なバンドもいくつかありましたけど、僕らはもっと長い目でバンドを見てるんですよね。完成度よりも、そのバンドが原石としてどれだけ面白いものを持っているのか。みんな『売れるためにはどうしたらいいのか』とか、いろんなことを考えてバンドをやってると思うんですけど、僕らが見ているのはそこじゃないんです」(道下善之)
「さすがファイナルだけあって6組とも実力は申し分ないんだけど、みんな最後の鍵が見つかってない状態だと思うんです。その鍵を見つけられるかどうかが重要だということを、今日はとてもリアルに感じました」(中山道彦)
「やっぱり僕が求めているのはどこにもいないオリジナリティと個性で、それを常に探しているんですね。今日それを一番感じたのは橋鼠くん。他のバンドもそれぞれ良かったけど、ライバルが多そうだなぁと(笑)。でも、毎回たくさんマネージャーが来てくれたけど、きっと彼らにとってはいろんな発見があったイベントだったと思います」(原田公一)
第1回目が開催された4月から今回のファイナルまで計5回。『HARE NOVA』という対バン・イベントやフェスとは一味も二味も違う、発見と驚きと刺激に満ちたまったく新しいタイプの音楽イベントの試みは、こうして熱狂とともに幕を閉じた。
(取材・文=宇野維正/撮影・Ohagi)
■原田公一:1977年より南佳孝のマネジメントを担当。その後、UNICORN、PUFFYほか多くのアーティストに携わる。現・ソニー・ミュージックアーティスツ取締役。
UNICORN オフィシャルHP:https://www.unicorn.jp/
PUFFY オフィシャルHP:https://puffy.jp/
■中山道彦:株式会社ソニー・ミュージックアーティスツ代表取締役社長
■タカハシヒョウリ:「終わり」と「始まり」二つの言葉が示すとおり、ポップとアヴァンギャルド、未来と過去の架け橋となる「最重要」ロックバンド・オワリカラのボーカル、ギター。アルバム『サイハテ・ソングス』絶賛発売中
オフィシャルHP:http://owarikara.com/
■青山美郷:ソニー・ミュージックアーティスツ所属女優による演劇集団・劇団ハーベストのリーダー。
オフィシャルHP:http://her-best.net/
■道下善之:電気グルーヴ、ねごと等、多くのアーティストのマネージメントを手がける。
電気グルーヴ オフィシャルHP:https://www.denkigroove.com/
ねごと オフィシャルHP:http://www.negoto.com/
■宇野維正:音楽・映画ジャーナリスト。音楽誌、映画誌、サッカー誌などの編集を経て独立。現在、「MUSICA」「クイック・ジャパン」「装苑」「GLOW」「BRUTUS」「ワールドサッカーダイジェスト」「ナタリー」など、各種メディアで執筆中。Twitter