2PMが「脱野獣」路線に? K-POP男性グループの多様化進む

 2014年5月にはソロアルバム『LOVE & HATE』をリリースしたJun. K。ここでは全曲の作詞作曲を手掛け、ヒップホップをベースにしながらR&Bやゴスペルの要素を取り込んだ幅広い音楽性を見せ、どちらかと言うと、グループ本体のマッチョなEDM路線とは一線を画した“脱野獣”のスタイルを展開していた。

Jun. K (From 2PM) 『LOVE & HATE MV Short ver.』

 そして、これまでアルバム収録曲では作詞作曲を手掛けてきたJun. Kだが、シングル表題曲としてはこの「ミダレテミナ」が初めて作詞作曲を担当したナンバーとなる。

2PM『ミダレテミナ』

 一聴して印象的なのは、バウンシーなベースラインとギターカッティング。シンセのストリングスのレトロ感もあり、いわゆる70’sディスコソウルのルーツを感じさせる曲調だ。そこに韓国歌謡の土臭さ、いなたさがミックスされたようなナンバーとなっている。これまでシングル曲ではトランス経由のEDMアイドルポップが中心だったが、ここにきてサウンド面でも大きな路線変更と言えるだろう。

 さらにJun. Kは10月8日にリリースされる山下智久のアルバム『YOU』に収録されるバラード曲「ブローディア」の作曲も担当。川谷絵音(ゲスの極み乙女。/indigo la End)、小出祐介(Base Ball Bear)、七尾旅人、一青窈、banboxなど気鋭のソングライターが集うことで知られる山Pのアルバムの製作陣の一角を担ってもいる。

 メンバーの平均年齢も20代後半となり、下の世代のボーイズグループも続々と登場し、デビュー当時の「野獣系」というイメージ戦略もそろそろ賞味期限切れとなってきた。とはいえ、言ってみれば2PMは今の日本における「K-POP男性グループ多様化の時代」の先鞭をつける存在となったグループでもある。

 ソングライター兼プロデューサーとしてのJun K.にスポットを当てることでグループの息の長い人気に繋げる2PMの「次の一手」は、ムーブメントの将来を象徴するものにもなるのではないだろうか。

■柴 那典
1976年神奈川県生まれ。ライター、編集者。音楽ジャーナリスト。出版社ロッキング・オンを経て独立。ブログ「日々の音色とことば:」Twitter

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