摩天楼オペラが語る、シーンへの向き合い方「僕らは僕らの音楽で世の中に訴えていければいい」

「僕らは僕らの音楽で世の中に訴えていければいい」(彩雨)

――摩天楼オペラは今年で8年目とのことですが、今のロックシーンはヴィジュアル系も含め、全体的に力が弱くなっているようにも感じます。このシーンの停滞感の理由はなんだと思いますか。

彩雨:根本的な話なんですけど、ロックが流行らないのは社会に不満がないからかもしれない(笑)。社会情勢が不安定なことに、もはや慣れちゃってるのかなって。

――その一方でアイドルの楽曲もロック色が強かったり、パンクなパフォーマンスが人気のグループもいますよね。

彩雨:アイドルの子たちは、しっかりとエンターテイメントをやって人気があるわけだし、今の時代の人がそっちの方を求めているのなら、それはそれで良いと思います。でも、だからといって時代に迎合することが全てではないと思いますし、僕らは僕らの音楽で世の中に訴えていければいいのかなって考えています。

燿:僕、そういう話すると長くなっちゃうんですけど、結論から言わせてもらうと、結局はカッコいいものだけが残っていくのかなと。今は単純にCDを買う人が減っているわけですよね。ヴィジュアル系が停滞していると言っても、そもそも全体の絶対数が多かったわけではない。90年代のバンドの曲は今聴いてもカッコいいですけど、そこから続いてきているものなので、たぶんシーンは飽和状態にあるのだと思います。ただ、お客さんの耳も肥えてきていると思うので、その中でちゃんと良い曲を作れば、残っていけるんじゃないかと。

悠:音楽を聴くツールは多くなりましたし、今はCDを買わなくても聴けたりするじゃないですか。そういう状況の中でも「欲しい」と思ってもらわないといけないということは、常々わかっています。ただ最近、ゴールデンボンバーが「シングルに特典を付けない」という試みをするって言ってたじゃないですか。僕らも前は、数種類形態でCDを売っていたんですけど、ある時それをやめたんですね。それによって傍から見える順位は当時より落ちてるんですけど、僕はそれで良いと思っていて。さっき彩雨も言ったように、僕らは僕らなりの音楽をやっていけばいいのかなと。

Anzi:今はセールスの枚数にこだわること自体が違うんじゃないかな、と思っています。一人に何枚も買ってもらっても結局その人の手に複数あるから、新しいお客さんが増えているわけではないじゃないですか。そこを「たくさんの人に聴いてもらってる」と錯覚してはいけないと思いますし、そこの数字が見えないってことはやはり良くないと思うんです。もちろん一形態売りでも、ショップイベントや特典もありますから、それで何枚か買う方もいらっしゃいますけど、やっぱり複数形態でリリースするよりはリアルな数字が見えてくる。リアルな数字を知って、“より良くしなきゃいけない”というモチベーションに繋げていきたいんですよね。

悠:徐々にですけど、僕達も動員数がちょっと上がってきて、今回、日比谷野外音楽堂でできるようになったので、僕達の活動はそれでいいんじゃないかと。だから、他の人がどうするかなんてことは正直わからないし、どうすれば音楽シーン全体が盛り上がるかもよくわからない。だけど僕達が盛り上がれば、プラス1くらいにはなるのかなと思いますね。

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