堂本剛が開拓したジャニーズ「アーティスト路線」 発信型の音楽活動はいかにして支持を得たか

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ジャニーズでありながら、アーティスト志向の強い活動で知られる堂本剛。

 堂本剛のソロアルバム『shamanippon-ロイノチノイ-』が初登場1位を記録し、その後も順調に売上を伸ばしている。これまでもジャニーズの中では、グループに所属していながらソロ活動をするというパターンは特別、珍しいことではなかった。だが、堂本剛に関しては、そのレベルとこだわりが別格であったことは、すでに周知の通りだ。

 かつてのアイドルは、自分自身こそが最大の主張だった。アイドルが歌っていること、踊っていることそのものに一番の価値があり、誤解を恐れずに言うならば彼らの意思よりも、ファンが喜ぶ曲を歌うことが重要視されてきた面がある。だが、そこにとどまらなかったのが堂本剛という存在。Kinki Kidsとして、オリコン週間シングルランキング首位ギネス記録を更新し続けているだけでも、とんでもない偉業である。そのうえ、アイドルでありつつ、アーティストとしての一歩を踏み出し、自分の表現したいものを発信しているのだ。

 アーティスト活動は、一人の人間として内面を放出させる活動であり、それまでのファンを喜ばせようとするアイドル路線とは一線を画す場面も多いため、ファンを戸惑わせることも少なくなかった。実力が伴わなければ、あっという間に拒否されてしまう動きではある。しかし、彼の歌唱力と、ギター、ベース、ピアノ、ドラム…と楽器をソロで演奏してしまうストイックな姿に、誰もが才能を認めざるを得なかったのだ。だからこそ、今作にもスティーヴ・エトウやkenken、屋敷豪太など、多くのミュージシャンが参加しているのだろう。

 思えば、テレビ番組で彼が初めてギターに触れたときの師匠は吉田拓郎だった。世代を超えて愛される曲を生み出す巨匠から、音楽を奏でる楽しさ、真摯に向き合う大切さを学んだはず。そして、ALFEEの高見沢俊彦や西川貴教…と、彼の周りには常にミュージシャンとの人脈が広がっている。音楽に対する才能に加えて、人に愛され巻き込んでいく才能を持つ彼ならば、今のポジションも納得できるものがある。

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