銀杏BOYZ『光のなかに立っていてね』『BEACH』を語り尽くす

「銀杏BOYZの新作は100万枚売れるべき!」ダイノジ大谷と宇野維正が緊急対談

9年ぶりにアルバムを発表した銀杏BOYZのイメージ写真。背景に映るのは、フロントマンの峯田和伸。

 銀杏BOYZの9年ぶりとなるアルバム『光のなかに立っていてね』『BEACH』が、かつて彼らが主軸としていたパンクロック路線から大きく飛躍した作風に仕上がり、注目を集めている。両作品にとことん惚れ込んだのは、お笑い芸人でありつつ、ロックを軸としたポップ・ミュージックへの造詣の深さで活動の場を広げるダイノジの大谷ノブ彦氏と、リアルサウンドでも執筆する音楽ジャーナリストの宇野維正氏。銀杏BOYZの熱心なリスナーである2人が、その魅力について語り尽くす。(編集部)

宇野:銀杏BOYZの新しいアルバム『光のなかに立っていてね』と『BEACH』が、1月27日付のオリコンチャートで2位と4位に入りましたね。大谷さんはこの間「オールナイトニッポン」で峯田君と対談して、このアルバムを「100万枚売りたい」って言ってましたが――。

大谷:まあロマンですけどね。でも、それくらい聞いてほしいアルバム。メインストリームに、ロックがロック然として、ストレートに思っていることを伝えている作品があって欲しい。2013年で言うと、マキシマム ザ ホルモンの『予襲復讐』がそういう作品でした。2014年はこの作品がそういった位置付けになると思うんですよね。そこで今日は、銀杏BOYZについて掘り下げて語ってみたいと思っています。

宇野:今の銀杏BOYZって、完全に片翼がもがれてる状態じゃないですか。その圧倒的なライブで支持を集めてきたバンドなのに、峯田君以外のメンバーが全員抜けてしまって、現状、ライブが出来ない状況にある。普通だったら、こういうモニュメンタルな作品が出たときって、作品のツアーであったり、それに続く大型フェスの出演があったりするものだけど、そういうことが出来ない状態。だからこそ、まだ聴いていない人にこの作品を届けるために、こういう対談企画とか、ラジオでの後押しは大事だと思います。大谷さんは先日のラジオで、最初にライブ盤の『BEACH』からかけていましたね。

大谷:「はじまり」と「17歳」そのままかけましたね。

宇野:攻めてるなぁって思いました(笑)。普通だったら、ラジオのリスナーに興味を持ってもらうんだったら、『光のなかに立っていてね』の「ぽあだむ」とか「愛してるってゆってよね」とかを最初にかけるでしょ?

大谷:これで終わっちゃつまんないというか、ライブをやってほしいっていう願いも込めてかけました。

宇野:今、ライブ用のメンバーのオーディションというか、選定はしているそうですが。ただ、それは必ずしも銀杏BOYZの正式メンバーではなく、ライブのためのサポートメンバーという感じみたいですね。本当はフェスのようなでかいステージでやるべきだと思います。峯田君は日本が誇る最高のセックスシンボルでしょう。女の子がキャーっていうセックスシンボルはほかにいるけれども、僕とか大谷さんのような男も惚れるセックスシンボルって、なかなか他に居ないですもん。

大谷:彼の存在には説得されましたもんね、本当に。それに、彼らが出てきたときはミッシェル・ガン・エレファント・シンドロームの影響もあって、ロックバンドに勢いがあった。チャートがイギリスみたいにロックバンドだらけになるんじゃないかって思ったくらい。ミッシェルが『ギヤ・ブルーズ』を出した頃だから、98年とか99年くらいかな。ミッシェルが横浜アリーナでやったりしていたんだけど、でもその後に青春パンクが流行って、正直僕はずっこけたんですよ。でも、銀杏BOYZに関しては、前身のGOING STEADYは最初そういうバンドだと思っていたんだけど、後期になってから、彼らが本当にやろうとしてることに気づいてきて、ライブにもものすごく説得力があって、衝撃を受けましたね。

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