44年ぶり復活のザ・タイガースが見せたドラマ――再結成バンドが輝く時とは

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円熟した演奏を披露するタイガース。

 解散したり、活動を休止していたバンドやグループが再結成されることは、格段に多くなった。こうした動きは過去の日本の音楽シーンでもずっと行われてはきたのだが、2000年代の半ばからは、とくに目立って増えている。

 その中でも活発なバンドの代表はユニコーンだろう。2009年の復活以降はライヴと新作の発売を中心にコンスタントに動き続けており、今年の年明けには3月からの全国ツアーとニュー・アルバムを制作していることを発表した。またLUNA SEAは2007年の再始動後はライヴを主体とした活動を行っていたが、昨年末には13年5カ月ぶりとなるオリジナル・アルバムをリリース。同じく2007年にはX JAPANも再結成されていて、世界規模での活動を展開している。

 1999年に再結成したTM NETWORK、2006年に期間限定での再活動を宣言した米米CLUBは、それぞれ現在でも活動中。2006年に木村カエラをヴォーカルに迎える形で蘇ったサディスティック・ミカ・バンドは、80年代にも二度の再結成を果たしていた。別名義のユニットで顔ぶれが揃っていたYMOは2007年から正式に活動を再開し、これまた世界レベルでの動きを見せている。2008年からはサニーデイ・サービスが、同年から2010年まではBARBEE BOYSが、2010年には黒夢が再結成。昨年にはサザンオールスターズが大々的に復活したのが記憶に新しい。

 ここ数年のバンド再結成のきっかけとして大きかったのは、東日本大震災だ。あまりにも悲しい出来事で深くキズついた人々の心を元気づけようという思いが、解散状態だったバンドマンの心の糸を再び結ぶケースが相次いだのである。メンバー間の交流が戻りつつあったHi-STANDARDはAIR JAMを2011年に横浜、2012年に宮城で開催。KEMURIもその横浜での出演を機に復活している。パンク系では2012年からHUSKING BEEも活動を再開した。

 被災地支援の目的では、布袋寅泰と吉川晃司のCOMPLEXが2011年に東京ドーム2公演のみの復活を実現させた。同じような趣旨でJUN SKY WALKER(S)も二度目の再結成をしているし、プリンセスプリンセスが2012年の再活動の収益から寄付した義援金は約5億円と報道されたものだ。

 ……等々、バンドの再結成は非常に多数で、とてもフォローしきれないほど。そのパターンも、ライヴの回数を絞ったり期間限定のものもあれば、ほぼ継続的に活動を行っている場合もある。また、タイガースのようにあくまでオリジナル・メンバーにこだわったケースもあれば、サポートを入れたり、別のメンバーが加入したケースもある。

 傾向として感じるのは、新曲や新作のリリースよりも、ライヴに重きが置かれていること。そこには、ライヴでの収益のほうが意識されるようになった音楽シーンの構造的な変化が多少なりとも関係しているだろう。また、昔に比べ、大人の年齢になっても音楽を聴くことから卒業しないファンが増えているのも、大きく影響しているはずだ。

 こうしたバンドを支える主体は、まずはもちろん、かつてのファンである。だから再結成したバンドのライヴ会場には、どこか同窓会的な雰囲気が漂っていることが多い。となれば、客層は「このバンド、若い頃もバリバリ見てました!」という筋金入りであふれ返るはずだが、現実は決してそれだけではないはずだ。

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