グラミー賞に輝いた17歳歌姫 ロードはなぜ世界中の若者たちの心を捉えたのか?

 “支配者、君主”を意味する“LORD”をもじった“LORDE”というアーティストネームを持った、弱冠17歳の少女が歌う“Royals(王族)”という歌。それは、中身の無いセレブリティ・ライフに対するアンチである以上に、それらに憧れを抱きつつも、決してそうはなれない若者たちの頭の中に広がる、それぞれのファンタジーに寄り添うような音楽として響いたのではないだろうか。遥かニュージーランドの地から届いた“緩やかな連帯”の音楽。アメリカではデビュー間もないにも関わらず、ヤングアダルト層から絶大な支持を集める映画『ハンガー・ゲーム2』のサントラに、彼女が大抜擢されたのも、ある意味示唆的と言えるだろう。ちなみに、その映画に彼女が提供したのが、ティアーズ・フォー・フィアーズの大ヒット曲「ルール・ザ・ワールド」のカヴァーだったというのも何やら気が利いている話だ。

 若者たちの新たな“司祭”となる可能性を秘めた恐るべき17歳――ロード。その彼女が、アメリカの音楽業界の“ホール・オブ・フェイム”とも言うべきグラミー賞のステージに立ち、“最優秀楽曲賞”と“最優秀ポップパフォーマンス(ソロ)”の二冠に輝いたことが持つ意味は、ことのほか大きい。「よしもとばなな」の小説などを愛読し、日本にはただならぬ興味を抱いていると言うロード。そんな彼女の日本デビューは、2月19日。グラミーという権威のお墨付きを得た彼女の音楽は、果たしてこの日本で、どのように受け止められるのだろうか。とても気になるところである。
(文=麦倉正樹)

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